【ライター望月の駅弁膝栗毛】
高崎・新前橋から先へ向かう上越線・吾妻線・両毛線・信越本線のローカル列車では、長年、オレンジと緑の「115系電車」が活躍してきました。
しかし老朽化のため、今年春で惜しまれながら引退し、現在は高崎線などで運行されてきた、「211系電車」が主に4~6両で運行されています。
車内はロングシートですので、駅弁は空いている列車や郊外に出てからがお薦めです。
群馬では米と麦の二毛作が行われていることもあり、小麦文化が花開いています。
上越線の車窓からも、渋川の駅近くで、製粉会社の工場を望むことが出来ます。
さらに北上した沼田のご当地名物といえば、「味噌パン」。
その元祖のお店として知られるのが、沼田駅前から関越交通バスで5分ほどの「沼田局前」停留所前にあるパン屋さん「シャロン伏見屋」です。
昔は群馬名物・焼きまんじゅうのお店だったという伏見屋。
戦後、食糧事情の変化を受けて、パン屋さんになります。
40年あまり前、昭和40年代に生まれたという「元祖味噌パン」は、自家製のパン生地に黒糖入りの味噌だれを挟み込んだやさしくて素朴な味。
味噌パンなら、多少混んだ211系電車のロングシートでもいただくことが出来そうです。
鉄道でもクルマでも、旅ではその土地じゃないと食べられないもの、そしてその時期じゃないと食べられないものを意識して選んでいくと、より良い旅の思い出を作ることが出来ます。
もちろん、駅弁でも駅によっては、季節限定のものがあります。
例えば、高崎駅には「高崎弁当」が製造し、今週末(9/9)までの販売が予定されている「夏のお弁当」(1,100円)があります。
【お品書き】
・白飯
・コーンピラフ
・梅ひじきご飯
・キャベツのマリネ、ミニトマト
・ナスとズッキーニの香草チーズ焼き
・鶏肉とカシューナッツの照り焼き
・白身魚のユーリンチーソースがけ
・牛すき焼き風
・ライチとオレンジ
ご飯とおかずが、9つのマスに少しずつ盛られた「夏のお弁当」。
ご飯は白飯のほか、コーンピラフ、梅ひじきご飯の3つの味が楽しめます。
おかずには、ナスやズッキーニなど、夏らしい食材が並びます。
肉・魚など、素材に合わせて和洋中、様々な味が楽しめるのも面白いところ。
〆のデザートはライチとオレンジで、口の中をさっぱりとさせて完食といきましょう。
高崎(新前橋)からの上越線・211系電車は、水上止まり。
水上から先の上越国境越えは、新潟のE129系電車にバトンタッチします。
E129系は、朱鷺色に稲穂をイメージした黄金の帯を巻いた新型車両。
焼きまんじゅう・おっきりこみなど小麦文化溢れる上州と、米文化の越後を結ぶ上越線。
国境の長いトンネルをくぐって、米と小麦の食文化を比べる旅も面白いかもしれません。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/