【ライター望月の駅弁膝栗毛】
水戸から常陸大子を経由して、郡山の1つ手前・安積永盛を結ぶJR水郡線。
“奥久慈清流ライン”という愛称の通り、久慈川に沿って走るローカル線で、日本三名瀑の1つに数えられる「袋田の滝」へのアクセスを担う路線でもあります。
水戸周辺はのどかな田園地帯ですが、中流域からは紅葉が美しい絶景路線に変貌。
この週末は、国鉄形気動車を使った臨時快速「奥久慈紅葉レトロ号」が運行されました。
水郡線随一の景勝地といえば、茨城・福島県境の大子町から矢祭町にかけて。
特に福島県に入って最初の駅・矢祭山周辺は、紅葉の名所として知られています。
赤や黄色に色づいた木々の中を、朱とクリームの国鉄急行色を身にまとった気動車が駆け抜けていく様子は、30年くらい前にタイムスリップしたような感覚。
所々、窓を開けているお客さんがいるのも、非冷房車の時代を思い起こさせますね。
そんな水郡線の紅葉を眺めながらいただきたい駅弁といえば、その名も「常陸牛と茨城の栗めし」(1,250円)でしょう。
この秋、水戸駅弁を手掛ける「しまだフーズ」から登場している新作駅弁で、現在開催中の「駅弁味の陣2018」にも参戦中。
色づいた里山に栗の木と農家が描かれた掛け紙…まさに水郡線の車窓ですよね!
【お品書き】
・炊き込みご飯(茨城県産米)
・常陸牛しぐれ煮
・栗甘露煮
・きのこ山菜
・錦糸玉子
・椎茸煮
・花人参
・ししとう素揚げ
・花蓮根
・桜漬け
水戸駅弁の定番「牛べん」でおなじみ、常陸牛のしぐれ煮をメインに、甘い栗の甘露煮を組み合わせたいまの時期ならではの駅弁です。
じつは茨城県、「栗」の栽培面積、生産量ともに全国1位を誇る県。
栗と錦糸玉子の黄色い彩りが明るく、見た目にも秋らしい雰囲気を感じさせてくれます。
「しまだフーズ」によると、コチラの新作は、秋の季節駅弁という位置づけとのこと。
これからも茨城らしい秋の風物詩として、定着してくれたら嬉しいなぁと感じました。
(参考)茨城県ホームページ
ちなみに、普段の水郡線は、ステンレスのキハE130系気動車が活躍中。
常陸大子以北、郡山方面へ向かう列車のなかには、1両でトコトコ走る列車も…。
なお、常陸大子はSuica対応駅ですが袋田や矢祭山へはきっぷを買う必要があります。
また、水戸9:22発・郡山行など、アクセスに便利な列車は混雑することもあります。
それでも、青い空と色づいた木々が一緒に楽しめるのは、ほんの一瞬だけ。
今だけ楽しめる鉄道風景と駅弁を求めて、ぶらり出かけてみませんか?
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/