ホテル評論家、瀧澤信秋が語る「ホテルと宿泊客の関係」
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、ホテル評論家の瀧澤信秋が出演。自身の仕事内容、そしてホテルと宿泊客の関係について語った。
黒木)今週のゲストはホテル評論家の瀧澤信秋さんです。
「ホテル評論家」って初めて聞きました。
瀧澤)日本で僕だけしか多分いないと思います(笑)。
黒木)ネットで検索すると口コミがあったり、星が付いていたり、ユーザーの人たちの口コミはありますけれども。ホテルに泊まって評価をなさる、というお仕事と受け取ってよろしいのですか?
瀧澤)基本はまず自腹で泊まります。それで良いなと思ったホテルは正式取材をして、ホテルの人から話を聞きます。そこで問題点があったら、何でそうなったのかという情報を出して行くということですね。
黒木)良かったということは?
瀧澤)もう良かったことはたくさんあります。いまから20年ぐらい前、20代前半ぐらいのときに初めて外資系の高級ホテルに泊まりに行きました。友達から、「何でも希望を叶えてくれるから、言った方が良いよ」と言われていましたので、バブのグリーンって銘柄指定をしてリクエストをしたのです。そしたら10分後に持って来ました。
黒木)10分後。
瀧澤)すごいなあと思いましたね。でも、本当に驚いたのはその半年後で、泊まりに行ったら初めからバブが置いてあったのですよ。
黒木)えー! 覚えてらっしゃるわけですね。
瀧澤)でもきっとこれはおもてなしでは無く、サービスかなと思いました。コンピューターで管理をすればできることだから。
黒木)なるほど。サービスとおもてなしの違いは?
瀧澤)おもてなしというのは、その人の心の追求、ホテルマンの心の追求、とっさの言動です。入浴剤の話というのは、コンピューターで管理をすればできるサービスです。お客さんが感動してリピートしてくれて利益の追求をする。そういう側面があると思うのですね。
黒木)長い滞在のときとかに、朝仕事に行くじゃないですか。そのときに「いってらっしゃい」って言って欲しいのですが、「ありがとうございました」と言うホテルもあるのですよ。
瀧澤)ああ、そうですね(笑)。
黒木)すべての泊まり客の方を把握するということは難しいとは思いますが、1ヶ月も泊まっているのだから言ってほしいですよね。
瀧澤)そうですね。他方でホテルというのは、お客様が作って行く、育てて行くという側面があるのですね。ホテルをいくら立派に作って良いスタッフを揃えても、そこに来るお客様の質が良くないと、ホテルも良くなくなって行く。良いお客様が集まると自ずとホテルは育って行く。実はゲストの方にも、ホテルの人とのコミュニケーションを取ることは大切かもしれません。
黒木)ああ、なるほど。
瀧澤)僕は、ホテル宿泊して良いサービスを受けたら、その方の、名札付けているので、名前を覚えておきます。そして家に帰ってからサンクスレターを総支配人宛に書きます。「こういう人からこういう良いサービスを受けました」と。恐らくホテルでは、朝礼などで、総支配人から「その人がこういう手紙をいただきました」と伝えられるのだと思います。聞いたらホテルマンにとって、初めてもらったサンクスレターは一生の宝物だと言っていました。
黒木)なるほど。
瀧澤)そうすると僕が次行ったとき、「あのときはお手紙いただいて」と覚えてくれています。そこでもう2回目にして、ホテルマンとの関係ができてしまうわけです。
瀧澤信秋/ホテル評論家
■長野県上田市出身。
■法律事務所、会計事務所等の勤務を経て、経営コンサルタントの会社を設立。
■2000年頃から各地への出張の折に利用したホテルの宿泊レポートをブログで執筆。
■2007年頃からメディアからの取材対応をはじめ、「ホテル評論家」として活動。日本を代表するホテル評論家として、利用者目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底し、数多くのメディアに出演。
■評論対象はラグジュアリーホテル・デラックスホテルをはじめ、ビジネスホテル、簡易宿所(カプセルホテル・ゲストハウス・簡易宿泊所)レジャーホテル(ラブホテル)など多業態に渡り、ホテルグルメ、ホテルにまつわる社会問題までと幅広い。
■2014年は365日毎日異なるホテルへチェックインし続ける365日365ホテルを実践し372ホテルへチェックイン。「365日365ホテル」としてホテル旅の記録をホテルガイドも兼ねて上梓。そのほか旅のエッセイなど著書多数。
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