沖縄の県民投票~民意とは何なのか?
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月15日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。沖縄の県民投票について解説した。
辺野古の埋め立てを問う沖縄の県民投票が告示
沖縄県の名護市辺野古沖の埋め立ての賛否を問う県民投票が昨日告示された。投票日は今月24日できょうから期日前投票が行われる。
玉城デニー知事)今回の県民投票は、普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋め立てに対し、県民の意思を的確に反映させることを目的に実施致します。県民投票は県民の皆様ご自身の意思を直接示すことができる大変重要な機会です。県民の皆様には是非投票場に足を運んでいただき、貴重な1票を投じていただくよう宜しくお願い申しあげます。
飯田)今朝は朝日・毎日・東京新聞、これが1面トップ大展開という感じですが。投票率がどうなのだとか、いろいろな論点がありますけれど、宮家さんはどう思われますか?
民意とは何なのか~国民投票が必ずしも民主的なプロセスだとは限らない
宮家)れは地方自治法に基づいてやっているのだろうと思いますし、それ自体はルールなので良いのですけれどね。一般論としてこの話を聞いたときにまず思ったのは、イギリスのEU離脱のときの国民投票です。あれがなぜいまでも揉めているのかと言うと、「民意とは何なのか」ということを読み誤っている可能性があるからわけです。
沖縄がどうなのか、辺野古がどうなのかということはきょうは言いません。でもが、一般論として皆さんに理解していただきもらいたいのは、政治学的にで考えた場合、に必ずしも国民投票・住民投票が民主的なプロセスだとは限らないということです。世界中どこでも、普通の主要国であればほぼ同じですが、憲法上、民主主義という制度のは保たれていて、そのプロセスがあって、それは間接民主制なのです。基本的に直接民主制をやっているところは非常に少ないです。その上でそれから中央と地方の政府が、役割分担をしている。これが基本です。そうすると、今回のような直接投票というのは、つまり国民投票・住民投票というのは一般論としてはありますが、それは必ずしも民主的な効果を持たないという学説があるのですります。もちろんその説が全面的に正しいと言うつもりはありませんが、イギリスのEU離脱の国民投票の後のいまでも、あのやり方が本当に良かったのかと言う疑問が投げ掛けられています。そのときの最大のポイントは、間接民主制で時間を掛けて徐々に国民の意思を反映していく方法が基本であるのだとすれば、そのときどきの印象論や感情論や勢いなどが偶然重なった、そういう形での意思の決め方が本当に良いのかということをイギリスの人たちも、もちろんアメリカの人たちも真剣に考えているということです。
3択は世論調査と同じ
宮家)次に気になるのは、もしその住民投票を本当にやるのならば、それは賛成か反対しかないわけです。ところが「どちらでもない」が入った3択ということは、それはもうアンケートです。もしくはせいぜい公式の世論調査です。
こういう形でやることが果たして本当に良いのか。どんな結果が出ても僕はあんまり良いやり方だと思いません。仮に賛成論と反対論、どちらかが大幅に上回ったとしても、やり方がおかしいという議論が、イギリス等々他の国にはあるということだけはお伝えしておきます。
飯田)イギリスにお住いのSE(システムエンジニア)の方からメールをいただいたのですが、「まさにそのブリグジットEU離脱についてイギリスの知人数人に聞いたらこのように話していました。『2016年は変化が欲しくて離脱に投票したけど、今度国民投票があったら投票には行きません。あるいは最近のメイ首相と労働党のコービンさんの議論、幼稚園児の喧嘩にしか見えないよ』」と。「EECに加盟する前はイギリスは不景気で週に1、2回計画停電があったんだけども、加盟後経済も順調に伸びた、誰も覚えてないけれどもね」。
宮家)全部正しい。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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