【ライター望月の駅弁膝栗毛】
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キハ48形+キハ47形気動車・普通列車、羽越本線・鶴岡~藤島間
新津~秋田間を結ぶ「羽越(うえつ)本線」。
特に新潟県の村上と山形県の酒田の間の普通列車では、国鉄形気動車が健在です。
一部の車両は、国鉄時代を彷彿とさせる塗色となり、昨年(2018年)秋には、茨城~福島を結ぶ「水郡線」の臨時列車としても活躍しました。
それにしても架線の設備があるのに、なぜ自力で走れるディーゼルカーなのか?
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デッドセクション
羽越本線は、新潟県の村上~間島間で直流電化から交流電化に切り換わります。
このため、秋田・酒田から新潟方面へ直通するには、交直両用の電車が必要です。
直流と交流が切り替わる区間、いわゆるデッドセクションを挟む区間ではコスト面などから、高価な電車を使わず、気動車が活躍するケースがよく見られるようになりました。
2015年以降でもえちごトキめき鉄道の直江津~糸魚川間、東北本線・黒磯~新白河間、東北本線・塩釜~仙石線・高城町間(仙石東北ライン)などで同様の風景が見られます。
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のどぐろとにしんかずのこさけいくら
電車、気動車などバラエティに富んだ列車が走る羽越本線。
始発駅・新津に拠点を構える「神尾弁当」の駅弁のなかで、色々な海鮮食を楽しめるのが、「のどぐろとにしんかずのこさけいくら」(1,200円)かもしれません。
のどぐろの後ろだけ「と」が入ったネーミング、スリープ式の包装も三行で「五・七・五」となっていますが、神尾弁当によると、あくまでも「結果的に」五・七調になったのだそう。
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のどぐろとにしんかずのこさけいくら
【おしながき】
・酢飯(新潟県産コシヒカリ使用)
・にしん甘露煮
・数の子醤油漬
・鮭の塩焼き
・いくら醤油漬
・のどぐろ(赤むつ)の塩焼き
・錦糸玉子
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のどぐろとにしんかずのこさけいくら
脂がのった鮭&のどぐろの塩焼き、甘めのにしん甘露煮が大きな存在感を示す一方で、数の子といくらの醤油漬けは、塩っ気少なめのあっさりした味付け。
これを酢飯が引き締めることで、食欲が進みます。
一点勝負駅弁が多いなか、にしんと鮭の親子を軸に5つの味が楽しめるのは嬉しい限り。
日本海らしい海の幸がギュッと詰まった駅弁と言えましょう。
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EF510形電気機関車牽引貨物列車、羽越本線・藤島~鶴岡間
羽越本線のもう1つの主役は「貨物列車」。
なかには、北海道~九州を日本海回りで結ぶ長距離貨物列車も走っています。
その先頭に立ってやって来たのは、青い車体のEF510形電気機関車500番台。
ご存知、かつて上野~札幌間の寝台特急「北斗星」として活躍していた機関車です。
ブルートレインは無くなっても、ニッポンの物流を支える雄姿は美しいものです。
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/