【ライター望月の駅弁膝栗毛】
北陸本線から移管されたIRいしかわ鉄道の津幡から和倉温泉の間を結ぶJR七尾線。
七尾線は国鉄時代、津幡~輪島間の路線でしたが、JRになって、電化された和倉温泉までの路線となり、以北は「のと鉄道」になりました。(後に穴水~輪島間廃止)
現在も七尾線の普通列車は、交流・直流電化区間両用の415系電車によって金沢発着で運行されています。
七尾線の列車が交直流電車で運行されるのは、途中にデッドセクションを挟むため。
北陸本線(現・IRいしかわ鉄道)は国鉄時代に交流電化されましたが、七尾線は平成3(1991)年に直流電化され、津幡~中津幡間で電源が切り替わります。
国鉄形車両などでは、車内が消灯したり、前照灯の一部が消える風景が健在。
東日本エリアではだいぶ少なくなったせいか、ちょっぴり懐かしさを憶えるものです。
かつては奥能登への鉄道輸送を担っていた七尾線ですが、金沢の駅弁にもかつて“能登和牛”の名を冠した駅弁がありました。
牛肉を取り巻く環境が厳しくなった2000年代以降、その系譜を継いでいるのが、「大友楼」の「特製牛肉弁当」(1,150円)です。
ハードカバーの本を開くような重厚な包装も、趣があって好きな駅弁の1つです。
【おしながき】
・白飯
・ローストビーフ
・中華いか山菜
・人参
・フライドポテト
・紅しょうが
・奈良漬け
・桜漬け
・大福
特筆すべきは、「ローストビーフ」の駅弁であるということ。
地域によっては基準の見直しで、通常はローストビーフ駅弁が見られなくなっている駅もあるなか、「大友楼」によると厳しい温度管理を行うことで製造・販売を行っているそうです。
香り豊かな甘めのたれをかけて、牛肉のうま味とたれがしみ込んだ白いご飯をいただけば、それは金沢らしい上品な牛肉駅弁です。
2018年初夏から今年3月にかけて、七尾線の一部の列車には、「能登立国1300年」、「七尾線開業120周年」の記念ヘッドマークが取り付けられて、運行されました。
ちなみに七尾線の415系電車のなかには、ルーツをたどると昭和30年代から半世紀あまりにわたって活躍している車両も…。
ボックスシートに身を委ねながら、駅弁と共に懐かしさいっぱいの旅を楽しんでみては?
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/