【ライター望月の駅弁膝栗毛】
名古屋・米原から、福井・金沢を結ぶ特急「しらさぎ」。
昭和39(1964)年の東海道新幹線開業に合わせて誕生した歴史ある列車です。
現在は、かつて越後湯沢~金沢間の「はくたか」として活躍していた681・683系電車が、ブルーとオレンジの帯を巻いて、中京圏と北陸地方を結ぶ役割を担っています。
訪れた日は、昔は北越急行所属だった683系電車(8000番台)がやって来ました。
「しらさぎ」の愛称は、加賀温泉郷の1つ「山中温泉」の白鷺伝説に由来すると言います。
開湯は古く、およそ1300年前、僧の行基によって発見されたと伝えられています。
温泉街発展の基礎となった山中温泉の総湯「菊の湯」(男湯)の前には、白鷺のモニュメントがあるほか、飲泉所もあります。
温泉成分が湯口に付着している様子を見ると、温泉情緒もたっぷりですね。
そんな山中温泉をはじめとする加賀温泉郷からの旅の帰りにいただきたい駅弁といえば、加賀の郷土料理がたっぷり入った予約制駅弁「加賀白山おったから弁当」(1,600円)。
加賀温泉駅を拠点に駅弁を手掛ける「高野商店」が製造しています。
「おったから」とは、「お宝」という意味と加賀の方言で「(あなたが)居たから」という2つの意味をかけているのだそうです。
【おしながき】
(一の重)
・加賀料亭の玉子焼き
・甘皮南京
・鮭の味噌漬け
・五郎島さつまいもの甘煮
・治部煮(小芋・鶏・すだれ麩・もみじ麩)
・白山なめこ蕎麦の実和え
・鰊の昆布巻き
・茶蕎麦寿し
・小倉蓮根
・こごみのおひたし
・加賀豆腐の田楽
・鴨ロース(二の重)
・季節の押寿し
・甘エビの俵飯
・ゴリの佃煮
・菓子胡桃
・吸坂飴
加賀地方に古くから伝わる郷土料理を詰め込んだ二段重を、オリジナル風呂敷で包んだプレミアムな駅弁「加賀白山おったから弁当」。
治部煮のような分かりやすい郷土料理はもちろん、五郎島さつま芋、加賀れんこん、赤皮甘栗かぼちゃといった、この地域伝統の加賀野菜も使っているのが特徴です。
甘海老を炊き込んだ俵飯は、高野商店に昔あった数々の甘海老駅弁を知る者に、駅弁屋さんの歴史のエッセンスがギュッと凝縮されているように感じさせてくれます。
もう1つ嬉しいのが、贅沢に山中漆器の塗り箸が入っていること。
駅弁といえば割箸という概念を打ち破り、「お土産」として箸を位置付けた点も見事です。
日本を代表する漆器の産地にある駅弁屋さんならではの嬉しいアイテム。
ちなみに山中漆器は、天正年間以降、温泉客を相手に発展してきた漆器なのだそう。
その意味でも、加賀温泉郷の旅の思い出にピッタリの駅弁とも言えましょう。
「加賀白山おったから弁当」は、金沢駅でも予約購入することが可能です。
西日本エリアの駅弁購入に便利なのが、「駅弁おとりおきサービス」。
購入希望日の2日前(前々日)まで、ウェブサイトから簡単に予約できます。
“多くて迷っちゃう“という方も、かなり売れ筋に絞り込まれているのが嬉しいところ。
夕方の列車に乗ろうと思ったら売り切れ…そんな後悔をする前にまずは予約を!
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/