【ライター望月の駅弁膝栗毛】
大阪~金沢間を走る特急列車「サンダーバード」の1往復は、金沢から先、IRいしかわ鉄道・七尾線を経由して、和倉温泉まで直通運転されています。
大阪方面から七尾線への直通運転といえば、国鉄末期の昭和61(1986)年に登場した、当時の特急「雷鳥」に気動車を連結した「ゆぅトピア和倉」がとても印象的でした。
電車と気動車を連結した列車は、いまは「北海道」で1本見られるくらいでしょうか。
平成3(1991)年の七尾線電化によって直通運転はさらに発展。
一時は大阪から「雷鳥(サンダーバード)」・名古屋から「しらさぎ」・長岡(越後湯沢)から「かがやき(はくたか)」が和倉温泉まで直通列車が走るようになりました。
しかし、北陸新幹線の開業によって直通運転が見直され、1往復の「サンダーバード」を残して、特急「能登かがり火」に乗り継ぐ形に改められました。
能登半島は平成の間に大きく交通体系が変わり、和倉温泉まで電化されて直通列車が走るようになった一方、穴水から先、輪島・珠洲への鉄道は廃止されてしまいました。
一方で能登空港の開港、昭和末期に開通した能登有料道路の無料化(のと里山海道)など、必ずしも鉄道に頼らない交通体系が作られてきました。
21世紀初めに廃止されたのと鉄道・輪島駅跡が「道の駅」に変わったのはその象徴。
ただ私自身、手元にある輪島周辺の画像は、12年前の2007年のものが最後でした。
やっぱり私は人に愛されている鉄道、“活きている鉄道”が好きなんだなぁと思います。
今回は、すっかりご無沙汰している輪島に、金沢から駅弁で思いを馳せます。
その名も「輪島朝市弁当」(1,050円)!
加賀温泉駅を拠点に、金沢駅でも駅弁を販売している「高野商店」の駅弁です。
「輪島朝市弁当」は、平成27(2015)年の北陸新幹線開業から半年あまりのタイミングで登場、輪島朝市組合も公認の駅弁です。
【おしながき】
・かきめし
・厚焼き玉子
・白身魚ふんわり揚げ
・いかとわかめの酢の物
・サザエいしる煮
・たらこ旨煮
・ぶり角煮
・中島菜入り固豆腐
・ごり佃煮
・大根味噌漬け
・のり
朝市の風景を彷彿とさせるスリープ式の包装を開けると、フワッと磯の香りが漂います。
かきめしをメインに、サザエ、ぶり、たらこに加え、イカの水揚げ港として知られる能登町・小木港産のいかとわかめの酢の物…と、能登半島らしい海の幸がいっぱいです。
いまは七尾市となった中島町で受け継がれてきた中島菜入りの堅豆腐も面白い存在。
ディープな能登の幸を少しずつ、お試し感覚で味わえるのが旅行者には有難いですね。
平安時代からの歴史を誇り、1970年代、国鉄の「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンをきっかけに大きな注目を集めるようになったとも云われる「輪島朝市」。
残念ながら、いまは輪島まで鉄道で行くことは叶いませんが、北陸エリアにいまも残る国鉄形電車のボックスシートにのんびりと身を委ねて朝市ゆかりの駅弁をいただけば、懐かしいあの日の思い出がよみがえるかも(!?)しれませんね。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/