黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、昆虫学者で農学博士の五箇公一が出演。捨てられて大量繁殖してしまったミドリガメの現状について語った。
黒木)今週のゲストは昆虫学者で農学博士の五箇公一さんです。
外来生物のなかでここ数年、ミドリガメに困っているそうですが。
五箇)ミシシッピアカミミガメというカメなのですが、アメリカ原産のカメで、日本ではミドリガメという愛称でペットとして60年代以降、売られ続けていました。
黒木)我が家にも大きいのがいます。名前もつけて話しかけると、「クー」と答えてくれます。
五箇)彼らなりに認知はしてくれるとは思いますから、最後まで大事に飼っていただきたいです。
黒木)捨ててしまうのですか?
五箇)黒木さんのように大事に飼っていただければいいのですが、皆さん、途中で池や川に捨ててしまうので、捨てガメが繁殖してしまったのです。大きくなって来ますし、長生きするので、飼い主のほうが歳を取ってしまう状況になって捨てられてしまう。
いま、国内で推定890万匹くらいいると言われています。それに対して日本のイシガメというカメは100万匹いないだろうと言われていますから、圧倒的多数でいまアカミミガメが占領してしまっている状態です。
ここまで増えてしまうと、駆除がなかなか難航しています。捕っても捕っても、これだけの数になるとすぐ増えてしまって追いつかない。
黒木)ミドリガメは何年くらい生きるのですか?
五箇)20年から30年近く生きます。カメには非はなく、飼う人間に責任があるのです。
黒木)まだ、売られているのですか?
五箇)輸入数は減りましたが、規制がかかっているわけではありませんので、売られています。知識のない人が飼ってしまうと、永遠に小さいままではなく、大きくなります。そうすると手に余ってしまって、川などに捨ててしまう。ペットというのは最後看取るまで飼うということが、飼い主の責任です。
五箇公一/国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター室長、ダニ学者、農学博士、保全生態学者
■1965年生まれ。富山県出身。
■京都大学卒業後、宇部興産に入社し、農薬の開発研究に従事。
■1996年に国立環境研究所に入所。外来生物や農薬による生態リスク研究を展開している。
■国立研究所の研究者であることとロックファッションのギャップが注目され、テレビ番組などのメディアにも出演。
■著書に『クワガタムシが語る生物多様性』、『終わりなき侵略者との闘い』。共著に『ダニの生物学』『外来種ハンドブック』『感染症の生態学』などがある
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳