【ライター望月の駅弁膝栗毛】
近畿地方から伊勢志摩・名古屋まで路線網を広げる近鉄(近畿日本鉄道)。
「伊勢志摩ライナー」は、大阪難波・京都・近鉄名古屋の各駅から運行されています。
この時間は、大阪難波始発の赤い「伊勢志摩ライナー」が、松阪駅に入って来ました。
近鉄線とJR線が乗り入れる松阪駅は、熊野・南紀方面と近鉄線の乗換駅。
大阪難波~松阪間はおよそ1時間半、京都からは1時間45分ほどで到着します。
そんな松阪駅は、三重県では希少な公式駅弁販売駅。
松阪で昭和の頃から販売されている駅弁と言えば、「すき焼弁当」(1100円)です。
製造・販売する「新竹商店」によると、昭和42~43(1967~68)年ごろから販売されているそうで、すでに半世紀以上の歴史を誇る駅弁です。
現在は、前日までの予約制で購入することができます。
【おしながき】
・ご飯
・黒毛和牛のすき焼き
・切り干し大根
・蒲鉾
・酢蓮根
・しぐれ昆布
・うぐいす豆
・さくら漬け
冷めてもふんわりやわらかい黒毛和牛のすき焼き。
舌の上の心地いいふんわり感といい香りのおかげで、白いご飯がどんどん進みます。
「新竹商店」によると、この駅弁、伊勢志摩を訪れる修学旅行生御用達の弁当なんだそう。
修学旅行の食事って、じつは学校によって様々で、引率する先生の食や旅のセンスが反映されたり、公立なら自治体の懐具合などが浮き彫りになっているようです。
修学旅行に駅弁を入れ込むことができた学校は、もうそれだけで立派な「食育」!
日本の弁当文化、松阪の牛肉文化を知る機会になることはもちろん、このフワッとした黒毛和牛の食感は、きっと感受性豊かな子供たちの心にも響くことでしょう。
昭和の頃から活躍している近鉄特急と言えば、おなじみ「ビスタカー」!
4両編成のうち、真ん中2両が2階建てになっているのが特徴です。
昭和の終わりから平成の初めにかけて、新幹線に2階建て車両が登場したり、湘南電車のグリーン車が2階建てになるまでは、2階建てと言えば「近鉄特急」の代名詞でした。
リニューアルされて塗色も新たに、「ビスタEX」はまだまだ活躍してくれそうです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/