【ライター望月の駅弁膝栗毛】
JRセントラルタワーズがそびえ立つ名古屋駅。
N700系新幹線電車が、数分おきに発着を繰り返していきます。
東京~名古屋間は、東海道新幹線「のぞみ」号で最速1時間33分。
来年(2020年)、最高時速285㎞運転が可能なN700Aタイプの車両で統一された暁には、1時間に最大12本の「のぞみ」が運行される時間帯もあるということです。
(参考)JR東海ニュースリリース・平成31(2019)年4月18日分
大正11(1922)年創業、3年後に創業100年を迎える老舗の駅弁屋さん「松浦商店」。
元々、名古屋駅では服部商店というお店が駅弁を手掛けていましたが、ご主人が年齢を重ねて体調を崩されたため、明治時代から大須で料亭「八千九」を開いていた「松浦商店」が、大正11年の段階で駅弁を引き継いだという経緯があります。
その松浦商店随一の人気を誇る駅弁が、「幕の内 なごや」(1050円)です。
【おしながき】
・白飯
・鰆の照焼き
・蒲鉾
・玉子巻き
・煮物(えび、ごぼう、筍、椎茸、がんもどき ほか)
・ホタテ風味フライ
・豆腐の磯辺揚げ
・穴子の八幡巻き
・チキンロール
・鰊入り昆布巻き
・守口漬
「松浦商店」の十八番は、焼き魚・煮物・玉子巻きの3つ。
じつはこれらのレシピ、大須の料亭時代から受け継がれているものなんだそうです。
焼き魚は小さい穴が見えることがあって、いまも串焼きされていることが分かります。
煮物には松浦商店オリジナルの醤油と高価な三温糖が使われており、玉子巻きも自家製。
じつは昔ながらの料亭の味がギュッと詰まっているのが、松浦商店の幕の内なんですね。
ちなみに「幕の内 なごや」のルーツをたどると、昭和39(1964)年の東海道新幹線開業時に登場した幕の内弁当「ひかり」に行きつくのだそう。
今回は「松浦商店」で“エキゾチックジャパン”のロゴと0系新幹線電車のイラストが入った1980年代半ば、国鉄末期の「ひかり」の掛け紙を見せていただきました。
明治の料亭の味と昭和の名駅弁のルーツを受け継ぐ幕の内駅弁、人気なのも納得です!
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/