農家の竹藪対策から生まれた~純国産メンマプロジェクト
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、月刊『現代農業』編集長・石川啓道が出演。農家の問題であった竹藪対策についての企画「竹藪減らしに、メンマが熱い」について語った。
黒木)今週のゲストは農業の専門雑誌『現代農業』の編集長、石川啓道さんです。これからの農業の抱える課題というものは何でしょうか?
石川)農家が減っているのは事実ですが、現場は思ったほど暗くはありません。困ったことがあると、それをどこかで解決しようという工夫が生まれます。困りごとの解決策は現場を見ていると必ずそこにあります。例えば、竹です。竹藪がどんどん広がって行って困っている、それに対してどのように竹藪を減らして行くかという特集をやりました。「切って食べて竹藪を減らす」というものです。そのなかで反響があったのは、「竹藪減らしに、メンマが熱い」という企画でした。
黒木)どういうことでしょうか?
石川)春先に筍として獲ればおいしく食べられるのですが、獲り損ねてしまうとグングン伸びて手がつけられなくなって、あきらめてしまいます。でも、2メートルくらい伸びた幼竹も食べられるのです。まだそれくらいだと柔らかい。それを下から切って行って、鍋で30分~1時間くらい茹でる。冷めて来たら塩を入れて置いておくと、それがメンマなのです。この動きがいま全国にどんどん広まっていまして、福岡の糸島というところが発信地なのですが、「純国産メンマプロジェクト」というものを立ち上げて、全国22都府県で取り組みが始まっています。愛媛などはすごくて、1年間で18トンものメンマを作っていて、年間6000万円の稼ぎを上げています。大手のラーメンチェーンが、国産メンマを使いたがっているそうです。
黒木)6000万円ですか。
石川)こうやって竹を切って行けば、竹藪が広がるのも阻止できますし、お金にもなります。整備されれば、今度は春になるとおいしい筍も獲れます。いいことずくめですよね。
黒木)いままで、メンマはどうしていたのですか?
石川)ほとんどが中国からの輸入品ですね。それを国産ブランドで出して、いまではこだわりのお店も増えています。
黒木)素晴らしいですね。
石川)農家のおじいちゃん、おばあちゃんも知恵を持っている方がたくさんいるのですよ。いま、スマート農業と言って、ハイテク機器を入れて農村が変わるというようなことが言われていますが、それでは一面だけで限界があると思います。農家の暮らしは細かく、いろいろな仕事があります。それをどうにかしようと工夫がたくさん生まれていて、そういう工夫が多くの農家に届くことによって世の中が変わって行くのではないかと思っています。そんなものを拾って記事にして、発信して行きたいと思っています。
石川啓道 / 月刊『現代農業』編集長■1976年、東京生まれ。四国学院大卒。
■1998年、一般社団法人農山漁村文化協会(農文協)に入会。
地域普及部を経て2003年、文化部に所属。
2005年に「現代農業」編集部へ移動し、2017年4月に編集長に就任。
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