【ライター望月の駅弁膝栗毛】
首都圏の駅でも、時折やって来るのが、普通列車・沼津(ぬまづ)行。
東京から東海道本線の各駅に停まって2時間あまり、三島を発車して、黄瀬川の鉄橋から大きな富士山が見えてきたら、終着・沼津はすぐそこです。
最近はアニメの“聖地”として有名な沼津ですが、地名に“津”とありますので基本は港町。
これに宿場町、城下町、鉄道の街など、さまざまな要素が加わった静岡東部有数の街です。
“沼津=魚が美味しいまち”のイメージをけん引するのが、沼津港の存在。
なかでも、沼津港のランドマークとして知られるのが、沼津港大型展望水門「びゅうお」です。
高さ約30mの展望スペースからは、箱根連山や駿河湾に突き出した大瀬(おせ)崎などを見渡すことができます。
なお、いざというときには、駿河湾の最奥へ押し寄せた津波から港を守る役割も担っています。
(参考)沼津市ホームページ
そんな“港町沼津”を前面に打ち出した駅弁と言えば、発売開始から間もなく2年を迎える沼津駅弁「桃中軒」の「港町沼津の駅弁屋発 こだわりの焼き魚弁当」(1080円)。
「白めしタイプ」と100円プラスの「桜えびめしタイプ」の2種類を選ぶことができます。
ごはんと焼き魚をはじめとしたおかずの二段重となっており、例年、春~夏は「鰆(さわら)」、秋~冬は「銀鮭」の焼き魚をいただくことができます。
【おしながき】
・白飯 黒ごま
・銀鮭の西京焼き
・桜えびのかき揚げ
・玉子焼き
・煮物(たけのこ、人参、椎茸、絹さや)
・春雨サラダ
・大根の桜漬け
今回は初のご紹介となる、「白めしタイプ+銀鮭の西京焼き」バージョン。
西京味噌に漬けられた大きめの銀鮭がしっかりと焼き上げられ、白いご飯が進みます。
沼津の魚はアジのイメージが強いですが、港周辺は水産会社も多く、魚選びの職人さんも多くいらっしゃることを鑑みれば、“港町沼津の…”の冠にも納得。
この優れた食材を明治24(1891)年創業の老舗の技が、駅弁へと仕上げていくのです。
沼津を出た東海道本線の下り普通列車は、片浜・原・東田子の浦…と停まっていきます。
沼津市内にある片浜は国鉄末期にできた比較的新しい駅、原駅は昭和40年代まであった原町の玄関口で、明治33(1900)年開業といいますから、今年(2020年)で120年の節目を迎えます。
1980年代には、非冷房の111系電車や身延線から直通するワインレッドの115系電車の窓を全開にして乗った区間ですが、いまはスマートな313系電車が行き交う東海道本線です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/