日産臨時株主総会 内田社長、株主の“洗礼”を受ける

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「報道部畑中デスクの独り言」(第176回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、2月18日に行われた日産自動車の臨時株主総会について---

2月18日、日産自動車の臨時株主総会が開かれた

前回の小欄でもお伝えした通り、日産自動車は2月18日、新体制を決議する臨時株主総会を横浜市内で開きました。新体制は承認され、名実ともに内田誠社長による体制がスタートしたことになります。

冒頭、内田社長は前会長のカルロス・ゴーン被告が国外に“逃亡”した件について触れ、「大変な驚きであり、極めて遺憾」と述べました。そして「株主のみなさまに、やはり日産の株主でよかったと思っていただけるよう、覚悟をもって経営にあたって行く」と決意を示しました。

総会では株主からさまざまな発言がありました。まずは役員報酬の削減を求める声…内田社長は5月の中期経営計画見直しまでに「すべての経費削減の案を含めて検討し、説明する場を設ける」と述べるにとどまりました。

日産の取締役でもあるルノーのジャンドミニク・スナール会長が、昨年(2019年)の株主総会終了後に他社の車で会場を後にし、日産幹部が激怒したという報道に触れる株主もいて、スナール会長が「間違ったクルマに乗ってしまった」として、おわびする一幕もありました。

また、中国が感染の中心地となった新型コロナウイルスの影響を懸念する声もありましたが、内田社長は「中国市場は世界的にみても非常に重要な市場。今後も適切な生産体制を検討して行く。今回の事例も含めて、我々の事業に影響が来ないように、中国での体制を万全にして行く」と、中国事業についてはこれまでと変わらず遂行する考えを強調しました。

臨時株主総会のもようはインターネットで生中継された(日産公式YouTubeから)

一方で、最も多かったのはやはり業績悪化による株価の下落、配当の減額に関する声です。ちなみにこの日、2月18日の終値は494円70銭。2年前には1000円を超えていた株価はゴーン被告の逮捕以降、半分以下に値下がりしてしまいました。配当にも影響を与えています。

「無配だよ、期末…立って謝るのが当たり前じゃないか! 今度の定時総会で500円割ってたら、あんたら責任とれよ!」

こんな厳しい声もあがりましたが、内田社長は「きちんとこれから株主の皆様方に、目に見える形で会社のかじ取りをすることをコミットさせていただく。仮に今後そのような状況が見えない場合には、すぐに私をクビにして下さい」と改めて覚悟を示し、「わかりました、がんばれよ!」という“激励”で、この株主とのやり取りは終わりました。

総会は個人投資家にとっては、往々にして“ガス抜き”の場面になりがちですが、日産の株主はそれぞれに「思い入れ」を持っている人が多く、その指摘はなるほど日産という会社の現状を示す「鏡」であるようにも感じます。名車を輩出していた時代が去来するのでしょうか?

日産自動車・内田誠社長(日産公式YouTubeから)

総会開催前に聞いた株主からも、「ブルーバードU(1971年に発売された4代目ブルーバード)から日産車に乗って来た」「ブルーバード、フェアレディなどすべて乗った」という声がありました。しかし、現在は「買いたいクルマがない」という人もいます。

開催前に聞いた株主からはこんな声もありました。「業績を回復するために何をやるのか。早く明確にしないと、この株を持ち続けていて大丈夫かと不安になる」という男性。また、「復活を期待している。クルマもそうだし、生活も支えてもらっている」と話す女性。

これまでの経緯について「とんでもない! ゴーン被告があんなに給料を取って、あげく赤字だなんて…どうしてくれるんだ!」と怒りをあらわにする男性もいました。

日産によると、出席した株主は666名、総会は2時間40分にわたりました。内田社長は終始冷静に対応していたようにみえましたが、株主の“洗礼”を受け、重い“宿題”も背負いました。それはまず、業績回復に向けた経営計画の見直しであり、ユーザーにとっては、これから繰り出される新型車の出来ということになります。(了)


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