【ライター望月の駅弁膝栗毛】
京都・梅小路は、電車が走り、気動車が走り、蒸気機関車が走る街。
再び自由に移動できる時期が来たら、「京都鉄道博物館」から、さまざまな列車が走る風景をのんびりと眺めたいものです。
訪れたこの日も、何気なく眺めていると、山陰本線(JR嵯峨野線)の221系電車が、C62形蒸気機関車の2号機けん引の「スチーム号」をオーバークロスで越えていきました。
しばしば「列車」と「電車」の違いを聞かれますが、基本的には列車という大きなカテゴリーのなかで、電気を動力源とした車両に客や荷物を載せられる列車が「電車」とされます。
京都は、日本で初めて「電車」の営業運転が行われたまち。
明治28(1895)年に開業した京都電気鉄道の“路面電車”が伏見まで約6kmを結びました。
京都駅近くには昭和50(1975)年に建てられた「電気鉄道事業発祥の地」の碑があります。
(参考)京都市ホームページ
この京都~伏見間を結んでいた路面電車は、伏見稲荷大社の参詣にも重宝された様子。
そんな京都の鉄道風景を思い浮かべていただきたいのが、神戸を拠点に京阪神の駅弁を手掛ける「淡路屋」の「二種のお揚げのきつね寿し」(800円)です。
令和元(2019)年7月に発売された比較的新しい駅弁で、京都をイメージして作られており、スリーブ式の包装にも、きつねの絵と一緒に、京の町家らしい風景が描かれています。
【おしながき】
・酢飯
・味付け油揚げ(白・黒)
・小松菜のおひたし
・くるみ甘煮
・ガリ
ふたを開けると、一面に敷き詰められた市松模様の白と黒のお揚げが現れました。
白は普通の油揚げ、黒は黒糖の油揚げで、酢飯の香りとお揚げの甘い香りが入り混じって、酢飯の上に敷かれたガリと共に、食欲がかき立てられて、箸がどんどん進みます!
「淡路屋」によると、古都をイメージした市松模様は碁盤の目の街並みにも通じるとのこと。
一条、二条、三条…と、油揚げ1枚ごとに箸を入れていくのが、楽しくなりそうです。
「二種のお揚げのきつね寿し」も、淡路屋の「通信販売」で購入可能です。
221系電車も、山陰本線・奈良線など、京都周辺の各路線に活躍の幅を広げていますが、いまは旅したい気持ちをグッと我慢するとき。
家から1歩も出ることなく、駅弁の通信販売などを活用して、いまできる最大限の旅気分を存分に楽しみましょう。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/