【ライター望月の駅弁膝栗毛】
今年(2020年)3月、全線で運転を再開した常磐線。
特急「ひたち」も、3往復が品川・上野~仙台間の運転となりました。
東北新幹線「はやぶさ」で約1時間半の東京~仙台間を常磐線回りで4時間半あまり。
私も3月の運転再開直後に全線を乗り通しましたが、鉄道の旅には「速さ以外の魅力もある」ということを、改めて感じました。
常磐線・いわき~仙台間、最大の途中駅となる原ノ町駅(福島県南相馬市)。
駅には、この地域最大の行事「相馬野馬追」にちなんで、通常は甲冑の試着や記念撮影などが楽しめる「原ノ町駅 陣屋」があります。
今年は運転を再開した特急「ひたち」で7/25~27に開催される相馬野馬追へのお出かけを考えていた方も多いと思いますが、残念ながら、無観客で神事のみ執り行われます。
せめて、気分だけでも「相馬野馬追」を……という方には駅弁がお薦めです。
郡山駅弁「福豆屋」が毎年夏場に販売しているのが、「相馬野馬追弁当」(1080円)。
「昨年」は、水色の掛け紙が印象的でしたが、今年は赤系の掛け紙になりました。
福豆屋によると、中通りから相馬野馬追へ出かける方はバスの利用が多いため、バスの車内でも食べやすいサイズで、手で持ちやすい折にリニューアルしたと言います。
【おしながき】
・白飯 海苔
・焼き鮭
・かまぼこ
・玉子焼き
・メヒカリの唐揚げ
・カニカマ天
・えびの磯辺揚げ
・伊達鶏つくね 玉こんにゃく煮
・相馬胡瓜漬
出陣の儀式「三献(さんこん)の儀」
一、打ち鮑(現在、あわびはのしいかで代用)
二、勝ち栗
三、昆布
ふたを開けると、相馬野馬追・三献の儀にちなんだ「鮑(イカで代用)、栗、昆布」の3つのおかずや、メヒカリなどの浜通りらしい食材を残しながら、構成も大きくリニューアル!
福豆屋によると、従来の「量が多い」という声を受け、白飯を200gに抑えたと言います。
糖質を気にする方が多い昨今、ご飯少なめ、おかずの種類多めの幕の内はトレンド。
伝統と時代の“空気感”のバランスも、駅弁の大事な要素の1つだと思います。
首都圏、仙台都市圏と、福島・浜通り地方を結ぶ、特急「ひたち」。
普通車でも全席に電源コンセントがあり、スマホ時代の旅にも対応しています。
今年の「相馬野馬追弁当」は、秋ごろまで販売予定とのこと。
みんなでワイワイという旅よりも、いまは最大限の注意を払った少人数の静かな旅。
いい時期になったら、福島・中通りから浜通り、仙台方面へ足を伸ばしたいものです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/