【ライター望月の駅弁膝栗毛】
磐越西線・郡山~会津若松間を走る、快速「あいづ」。
今年(2020年)のダイヤ改正から、磐越西線の快速列車・3往復に「指定席」が設けられ、これらの列車に、国鉄時代からおなじみの「あいづ」の愛称が付けられました。
磐越西線は2両編成の列車も多い分、新幹線から短時間の乗り換えでも、着席保証される「指定席」の存在は、快適な旅を楽しむ上で、大事なアイテムとなりそうです。
磐梯山を間近に望む磐越西線・川桁駅前には「沼尻軽便鉄道」の記念碑があります。
沼尻軽便鉄道は、大正2(1913)年から昭和43(1968)年まで、川桁と硫黄鉱山のあった沼尻の間・約16kmを結んでいた鉄道で、いまは一部が福島県道323号となっています。
碑に蒸気機関車と共に刻まれているのは、古関裕而作曲「高原列車は行く」の歌詞。
「高原列車は行く」の詞は、沼尻軽便鉄道をイメージしてつくられたことで有名です。
(参考)福島県ホームページ
この「高原列車は行く」を作曲した古関裕而がモデルのTVドラマが人気を集めています。
ドラマにちなんで、この春から郡山駅弁「福豆屋」が製造・販売している駅弁が、「みんなにエール 栄冠は君へ、ふくしま」(1080円)。
幸せを感じさせる黄色い掛け紙には、五線譜・音符・ピアノが描かれ、福島・川俣・豊橋とドラマの舞台となっている地名も入っています。
【おしながき】
・白飯(あさか舞コシヒカリ使用) 海苔(ピアノの鍵盤見立て)
・焼き鮭
・かまぼこ
・玉子焼き
・牛肉煮(福島県産牛)
・川俣シャモナゲット
・里芋の揚げだし
・煮物(高野豆腐、椎茸、人参)
・れんこんの金平
・豆味噌(自家製)
・紅白さくら漬け
・若桃の甘露煮(福島県産)
「栄冠は君に輝く」「紺碧の空」……耳にした瞬間から気持ちが高まる古関裕而さんの曲。
この「みんなにエール」という駅弁も、ふたを開け、白飯と海苔でピアノの鍵盤に見立てたご飯が目に入ってきた瞬間から、何だか楽しい気分になってきます。
「海苔のりべん」でおなじみの福豆屋ですから、ご飯の美味しさは織り込み済み!
しかも、人気の役者が揃ったドラマのように、バラエティ豊かなおかずが魅力的です。
なかでも注目したいおかずは、センターに陣取る川俣シャモナゲット!
古関裕而ゆかりの地・川俣のご当地名物、川俣シャモを使ったハート形のナゲットです。
福豆屋によると、開発に当たって川俣に赴き、親族の方から古関裕而さんが金子さんに当てた実物のラブレターを見せて貰い、ハートマークが描かれていたことに着想したそう。
ハートマークを入れた駅弁のサブタイトルも、これが理由だと話します。
ちなみに「ナゲット」にしたのは、多くの応援歌をつくった古関裕而さんらしく、野球の球を「投げる」にかけているそうで、こういう遊び心のある駅弁に、まずハズレはありません。
音で私たちを楽しませてくれる音楽、駅弁もまた食を通じて楽しませてくれる存在です。
新作「みんなにエール」は、大変な時期だからこそ、駅弁でみんなにエールを送りたい……、そんなつくり手の“愛情”もたっぷり詰まった駅弁です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/