【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「浜通り」「中通り」「会津」の3つの地方に分かれている福島県。
太平洋岸の「浜通り」は、東日本大震災の大きな被害を受けてしまいました。
JR常磐線は、いまも富岡~浪江間で運転を見合わせており、復旧工事が進んでいます。
現在、いわき~富岡間では特急型車両(651系電車)を使用した“乗りドク”な普通列車が、1日2往復運行され、往年の「スーパーひたち」号の面影を見ることができます。
浜通りのいわきと、中通りの郡山を結んでいるJR磐越東線。
全区間を通しで運行する列車は1日5往復程度ですが、郡山~小野新町間は1~2時間に1本の列車が運行され、春の「三春の滝桜」のシーズンには増発列車も走ります。
いわきからの列車は、およそ1時間半をかけて阿武隈高地を越え、阿武隈川橋梁を渡ると程なく、終着の郡山に到着します。
浜通りを代表するお祭りと言えば、南相馬市の原町地区を中心に、今年(2019年)は7月27日に開催される「相馬野馬追」です。
郡山駅弁の「福豆屋」では浜通り・中通り・会津の結節点・郡山にふさわしく、各地域のいいところを詰め込んだ幕の内駅弁を作っており、夏は歴史ある「相馬野馬追」がテーマ。
今年も7月1日から「相馬野馬追辨当」(1000円)が限定販売されています。
【おしながき】
・白飯 うにみそ カリカリ梅添え
・茶飯 あさり佃煮 生姜漬け添え
・メヒカリ唐揚げ
・丸焼かまぼこ
・カニカマ天
・むきえび天
・玉子焼き
・銀鮭焼き
・焼きイカ 栗 結び昆布
・伊達鶏つくね
・玉こんにゃく煮
・三角揚げ
・ごぼう炒り
・相馬胡瓜漬け
・豆みそ
「相馬野馬追辨当」は、以前、3段重ねの駅弁でしたが、去年(2018年)リニューアルされ、12のマスに分かれた、ご飯少なめ、たくさんのおかずを楽しめる形になりました。
ご飯は白飯と茶飯の2種類で、白飯にはうにみそと梅、茶飯はあさり佃煮・生姜漬けが添えられており、メヒカリの唐揚げなどのおかずと共に“浜通りらしさ”が感じられます。
バリエーション豊かなご飯とおかずを、少しずつ味わえるのも嬉しいですよね。
「焼きイカ 栗 結び昆布」が入ったマスは「相馬野馬追」の出陣の儀式にちなんだもの。
「三献の儀」と呼ばれる儀式では「打ちあわび・勝ち栗・昆布」が肴とされ、あわびはのしいかで代用されることもあることから、この3つが入っているのだそう。
それぞれ“打つ・勝つ・喜ぶ”の意味が込められていて、“世界一の馬の祭典”と言われる「相馬野馬追」を駅弁で盛り上げています。
運転再開に向けて工事が進む常磐線ですが、先ごろ、来年(2020年)春の運転再開に合わせて、東京~仙台間を常磐線回りで結ぶ直通特急列車が運行されることが発表されました。
来年の「相馬野馬追」は、恐らくこの直通特急列車でのアクセスも可能になるはず…。
いまから常磐線の運転再開が待ち遠しくなる、とても嬉しい話題です。
さあ、この夏は「駅弁」と共に、東北・福島を、ぜひ自分の足で歩いてみましょう。
(参考)JR東日本ニュースリリース、2019年7月5日分
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/