【ライター望月の駅弁膝栗毛】
上州の山々を望みながら、651系電車の特急「草津」号が駆け抜けて行きます。
長年、常磐線で活躍してきた651系電車ですが、平成26(2014)年以降は、窓枠の下にオレンジのラインが入って、特急「草津」や「スワローあかぎ」などを中心に活躍。
平成元(1989)年のデビューから30年あまり、群馬が誇る名湯への観光客と、高崎線の通勤客を乗せて、すっかりベテランの走りとなっています。
(参考)JR東日本ホームページほか
651系電車よりはるかに長く、上州を旅する人たちを高崎駅で見守ってきた駅弁といえば、おなじみ「高崎弁当」の「だるま弁当」(1100円)かも知れません。
高崎市郊外の少林山達磨寺にちなんで昭和35(1960)年に発売された駅弁で、今年(2020年)で“還暦”を迎えたロングセラー。
昔は、特急「草津」「水上」号が分割されていた新前橋駅でも立ち売りがありましたね。
60年前の発売当時、「だるま弁当」は陶器製のだるま形容器でした。
しかし、昭和48(1973)年以降は、持ち運びが便利でより衛生的にということで、プラスチック製の赤い容器となっており、「貯金箱」になる容器としても知られています。
昨年(2019年)までは、当時の器に近い形で「復古だるま弁当」が販売されていましたが、窯元がなくなってしまったため、新しい窯元が見つかるまで、暫くお休み中だそうです。
【おしながき】
・茶飯
・煮物(山菜、きのこ、穂先竹の子、椎茸)
・コールドチキン
・鶏八幡巻
・黒こんにゃく
・赤こんにゃく
・花豆煮
・栗の甘露煮
・山くらげ
・小ナス漬け
・山ごぼう
硬貨が入る口が開いただるま顔のふたを開けると、醤油味の香ばしい茶飯の上に、普茶料理風にアレンジされた山の幸がたっぷり載っていて食欲をそそります。
高崎弁当自慢の鶏肉料理をはじめ、群馬らしいこんにゃく、山菜、筍、栗なども彩りよく、赤い容器と共に「高崎に来たなぁ」という気分にさせてくれます。
60年の歳月を経て、駅の名物から“まちの名物”となっている「だるま弁当」です。
いま開催されている「駅弁味の陣2020」にもエントリー中の「だるま弁当」。
60年の節目に花を添えることができるか、期待が高まります。
上越・北陸新幹線、高崎線、信越本線、上越線をはじめ、両毛線、吾妻線、八高線への直通列車に、上信電鉄も乗り入れる群馬イチのターミナル駅・高崎。
高崎を訪れたら何はともあれ「だるま弁当」、群馬旅の“鉄則”です!
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/