加賀温泉駅「蟹百万石」(1350円)~駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.24「高野商店」編(1))

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

W7系新幹線電車「はくたか」、北陸新幹線・新高岡~金沢間(2018年撮影)

冬本番、本場のカニが恋しい時期です。
東京から北陸新幹線に飛び乗れば、金沢までは2時間半~3時間ほど。
山中・山代・片山津の加賀温泉郷や、少し足を伸ばして能登・和倉温泉をはじめとした、石川県のさまざまな温泉宿でじっくり癒されながら、美味しいカニ料理に舌鼓……。
今回はそんな北陸の温泉旅を彩る、石川県の駅弁屋さんにスポットを当ててまいります。

高野商店

午前4時、JR北陸本線・加賀温泉駅前。
日の出まで約3時間あるこの時期、既に社屋には煌々と灯りが点いています。
お邪魔するのは、ここを拠点に北陸の駅弁を製造する「株式会社高野商店」。
駅弁膝栗毛のシリーズ「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第24弾は、駅弁づくり125年の老舗・高野商店で、人気カニ駅弁「蟹百万石」(1350円)の製造に密着いたしました。

高野商店

「蟹百万石」に使われる米は、石川県が約9年をかけて、平成29(2017)年に開発した、新しいブランド米「ひゃくまん穀」です。
ひゃくまん穀の特徴は、「粒が大きい」「冷めても美味しい」「ゆっくりじっくり育つ」の3つ。
とくに1粒1粒が大きいことから食べ応えがあり、冷めても美味しい点は「駅弁」向き。
高野商店では、これを秘伝の調合でつくり上げた酢で酢飯にして、盛り付けています。

(参考)JA全農いしかわホームページ

高野商店

高野商店

わっぱ型容器に盛られたひゃくまん穀の酢飯を、ふんわり感を保ったままならしたら、まず、ベニズワイガニの棒肉をどっさりと盛り付けていきます。
そして、カニの身を傷つけないようにやさしく、しかし手早く、スッと伸ばして整えます。
熟練の職人さんの手で、カニの棒肉が“整列”した瞬間から一気に彩りがよくなっていき、“商品”へと姿を変えていく様子がわかります。

高野商店

高野商店

「蟹百万石」は、ベニズワイガニに加え、ズワイガニ、香箱ガニ(ズワイガニの雌)の3つのカニの味が楽しめる駅弁です。
棒肉に加え、ズワイガニのほぐし身、そして子持ちのプチプチ感もある香箱ガニが盛られ、おしまいにガリが添えられて、盛り付け完了。
2人の方で分業しながら、ここまで10分とかからず、職人さんの手際のよさも光ります。

高野商店

高野商店

盛り付けが終わったら、醤油のパックを入れて鮮度保持シートを載せ、透明の蓋をします。
続けて、「駅弁たかの」のロゴが入ったオリジナル箸袋を挟み込み、スリーブ式の包装を施したら、「蟹百万石」の完成!
積み重ねられた各駅弁は、さらにラッピングされて、加賀温泉駅や金沢駅の駅弁売場へ向けて運ばれていきます。

蟹百万石

カニの甲羅の赤をベースに、文化豊かな金沢の雅でモダンな雰囲気を出しながら、ズワイガニの絵が描かれ、ひゃくまん穀米使用と謳われた「蟹百万石」のスリーブ式包装。
よく見ると、カニの甲羅には前田家の家紋である、加賀梅鉢が描かれていて、しっかりと“加賀百万石”らしさを出している、この洒落たデザインがいいですね。
側面には、ブランド米「ひゃくまん穀」のうんちくも書かれています。

蟹百万石

【おしながき】
・酢飯(石川県産ひゃくまん穀)
・ベニズワイガニ
・ズワイガニ
・香箱蟹(ズワイガニメス)
・生姜酢漬

蟹百万石

ふたを開ければ、酢飯の香りと共に、カニのいい香りが辺りにフワッと広がって、一気に食欲がそそられます。
ふっくら大粒のひゃくまん穀米の甘みと、高野商店が誇るやや甘めの酢の酸味、そして、少しずつ違う3つのカニのうま味のハーモニーが感じられれば、それは楽しいひととき。
加賀百万石が育んだ経済的豊かさだけでなく、心の豊かさを感じる時間になりそうです。

683系電車・特急「サンダーバード」、北陸本線・加賀温泉~大聖寺間

金沢で北陸新幹線と接続して、終着・大阪へ向けてひた走るのは、JR西日本自慢の683系電車による特急「サンダーバード」。
コロナ禍のなか、2020年代前半には、北陸新幹線の敦賀延伸が予定されています。
進む新幹線工事の槌音を聞きながら、駅弁屋さんはいま、何を考えているのか?
「駅弁屋さんの厨房ですよ!」24弾・高野商店編、次回から高野宣也社長の登場です。

※「駅弁膝栗毛」読者の皆様にお知らせ

ニッポン放送「上柳昌彦あさぼらけ」(月・5:00~6:00、火~金・4:30~6:00放送中)の、月曜と金曜の5:25ごろからお送りしている「食は生きる力 今朝も元気にいただきます」。
こちらの1月マンスリーゲストとして、駅弁ライター望月が出演しております。
お時間ある方は早起きして、厳しい方はラジコのタイムフリーで、ぜひお楽しみ下さい!

■食は生きる力 今朝も元気にいただきます
https://www.1242.com/genki/

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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