【ライター望月の駅弁膝栗毛】
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E657系電車・特急「ひたち」、常磐線・久ノ浜~四ツ倉間(2020年撮影)
昨年(2020年)、ようやく全線で運転を再開した常磐線。
京王百貨店新宿店で現在開催中の「第56回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」でも、メイン企画の1つとして、「常磐線復旧記念」の駅弁特集が組まれています。
現在、常磐線の駅では、特急が発着する水戸駅といわき駅の周辺で駅弁が販売されており、3月の運転再開の際は、さまざまな記念駅弁が登場しました。
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しまだフーズ・島田社長
元祖有名駅弁と全国うまいもの大会の実演販売会場で、水戸を拠点に駅弁を製造する「しまだフーズ」の売場をのぞくと、「島田社長」自らブースに入って駅弁を製造中。
今回作っているのは、常磐線沿線の選りすぐりの美味しいものを集めたという「常磐街道味めぐり」(1500円)。
島田社長も、「春に出した『記念駅弁』とは違う、全くの新作です!」と胸を張ります。
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常磐街道味めぐり
スリーブ式の包装には、常磐線(上野~仙台間)の鉄道地図と共にE657系電車・特急「ひたち」の写真と、商品名と共に“2020.3.14全線復旧記念”のマークが入っています。
また、地図には、「常陸牛」「川俣シャモ」「牛たん」と、使われている食材も……。
いまはちょっと行くことが叶わないけれど、地図を見ながらあの日、常磐線を旅したときの思い出を脳裏に映し出しながらいただいていくと、より美味しさが増しそうです。
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常磐街道味めぐり
【おしながき】
・白飯
・常陸牛のしぐれ煮
・川俣シャモの塩糀焼き
・牛たん焼き
・煮物(人参、椎茸)
・梅れんこん
・長久保のしそ巻き
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常磐街道味めぐり
すっかり水戸の名物駅弁となった「牛べん」以来、肉駅弁には定評のあるしまだフーズ。
常陸牛はもちろん、朝ドラの舞台になった川俣の名物・川俣シャモも心地よい歯ごたえ。
加えて今回は、いわきで昭和の初めから作られている名物の漬物「長久保のしそ巻」で、アクセントを付けながらいただいて欲しいとのこと。
まさに、駅弁をいただきながら、常磐線沿線の“味めぐり”が楽しめるというわけですね。
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E657系電車・特急「ひたち」、常磐線・赤塚~内原間(2019年撮影)
3月には、東日本大震災から丸10年を迎えます。
常磐線経由の特急「ひたち」で、品川・上野~仙台間を旅すれば4時間半あまり。
心を落ち着けて、物事を考えるには、ちょうどいい時間です。
情勢が落ち着いたら、ぜひ4時間半をかけて、この10年を振り返りながら、自分自身の目で「常磐線沿線のいま」を、1人でも多くの方に見つめていただきたいものです。
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/