黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)にリクルート住まいカンパニー、住宅情報サイト「SUUMO」編集長の池本洋一が出演。シニア世代の住宅事情について語った。
黒木)今週のゲストは、リクルート住まいカンパニー、住宅情報サイト「SUUMO」編集長の池本洋一さんです。時代によって変わって行く住宅事情ですけれども、高齢化社会を迎えて、家の住み替えを検討する方も多いそうですね。
池本)そうですね。子どもが巣立ったあとに、大体のお家は2階が空いてしまいます。そのタイミングで、「〇〇で暮らしてみたかった」という方、また身体が思うように動かなくなった、介護が必要になりそうだということで住み替えるという方もいらっしゃいます。
黒木)シニア世代に人気のある街はどのようなところですか?
池本)時間ができるではないですか。そういうときに美術館があったり、博物館があったり、コンサートがあったりと、都心の方が毎日を楽しむアイテムが十分ある。そこはやはり、特に女性の方からすると、魅力的な生活だということで、鹿児島辺りから都心のマンションを追加で買ったという人もいらっしゃいます。
黒木)鹿児島から?
池本)そうですよ。
黒木)嬉しくなりますね。冒険心というか、チャレンジャーというか。
池本)想定以上に、いまのシニアの方は若いです。感性的にも若いし、行動力も含めて、昔とは全然違うのだなと感じます。
黒木)とは言え、バリアフリーにするなど、住宅としてはいろいろな工夫がされなくてはいけませんよね。
池本)そうですね。シニアの方で岐路になるのは、車椅子の暮らしを想定して、ドアも横にスライドする引き戸にしなければいけない、あらゆるところにつかめる手すりを用意しなければいけないのかということです。そこまで住宅をつくりこむということになると、かなり大変です。リフォーム代もかかるし、新築で、まだ要介護でもないのに、そこまでやるのかというところもあります。いちばん多いのは、手すりをいろいろな場所に付ける。「よっこいしょ」と起きるときに、さまざまなところに手すりがあるだけでだいぶ楽なので、それを取り付けられるようにあらかじめ下地をつくっておく。または最初から取り付けておく。あとはバリアフリーです。小さなところで躓き、転んで骨を折ってしまうということはもったいないので、それをなくすために、床はなるべくフラットにしておくということがやはり、中心でしょうか。
黒木)家はお金がついて来ますからね。
池本)そうですね。
黒木)どのタイミングでどうするかということは、専門家の人の知恵を借りたいところですね。
池本)郊外の戸建てに住み続けられる方が多くいらっしゃいます。でも、価値があるうちに物件はご売却いただいて、駅前など利便性の高いマンションに移っていただいた方が生活的には楽になると思うし、郊外のバス便の物件は、長い目で見ると価格も下がってしまう懸念があります。そういう意味でも、早めに意思決定をしていただいて、そういう住宅は子育て層に適したようにつくられているわけですから、そういう方々にお譲りして行くというように、少しループを早めて行くことがいいのだろうと個人的には思います。
黒木)でも、海外の物件を見ると古いではないですか。築何百年という建物が普通にあるではないですか。日本の住宅はサイクルが早いですよね。
池本)早いですね。海外の方は、お家に愛着を持って、自分で手直しをしますよね。家具が少し傷んでもチューニングするというカルチャーなのです。でも、日本人は、家はつくったらそこから消費して行く。愛着を持って手を入れるという人はあまりいません。そこは文化の違いかなと思います。ただ、面白いのは、若い人ほど「中古のリノベーションに興味がある」と答える人が多く、価値観が変わって来ています。「昔の建物の方がいい」というのは、若い人に多いようです。お年を召している方は、「ただの古いお家」という価値認識です。そこの世代ギャップも面白い。もしかしたら日本も、若い人たちが価値観を変えて行くかも知れません。
池本洋一(いけもと・よういち)/(株)リクルート住まいカンパニー SUUMO編集長
■1972年滋賀県生まれ。
■1995年に上智大学新聞学科卒業後、株式会社リクルートに入社。
■住宅情報編集部、広告営業に携わった後、住宅情報タウンズ編集長、SUUMOマガジン編集長などを経て、2011年より現職。
■住みかえ検討者や業界関係者向けの講演、業界新聞での連載などを通じて住まいのトレンド発信を行う。住まいの専門家として各種メディアにも出演。リクルート住まい研究所所長・SUUMOリサーチセンターセンター長を兼任。
<SUUMO>
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