黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)にコニカミノルタジャパン株式会社リレーションマネージメント統括部、統括部長・今井隆広が出演。自身の会社の働き方改革、フリーアドレス化について語った。
黒木)今週のゲストはコニカミノルタジャパン株式会社のリレーションマネージメント統括部、統括部長の今井隆広さんです。コニカミノルタジャパンでは、2013年から働き方改革に取り組み始めたということなのですが、最初に取り組んだことは何だったのでしょうか?
今井)まず、働く姿をデザインするということから始めました。たまたまチャンスだったのですが、本社を移転するということが2014年に決まっておりましたので、「移転するときがチャンスだね」ということで、移転したオフィスをどうデザインして行こうかと、働きたい姿から見つめ直して、「自分たちの働く場所」を形にするところから始めました。
黒木)イメージを導入することによって、生産性が上がる。ここに写真があるのですが、移転前の本社オフィスは、よく見るオフィスです。
今井)どこにでもあるオフィスですね。
黒木)移転したあとのオフィスの状況の写真があるのですが、気持ちよさそうですね。
今井)写真を見比べていただくとおわかりかと思うのですが、固定席ではないのです。フリーアドレスと言いまして、「社員はどこに座っても構いません、役職も関係ありません」という空間でして、袖机がありませんよね。
黒木)はい。
今井)袖机があると、どうしてもそのなかに私物を入れてしまうので、固定化してしまう。だったら、袖机をなくしてしまいましょうということで、一切袖机がありません。
黒木)この「フリーアドレス」というのは具体的にはどういうものなのですか?
今井)机と椅子があって、簡単なミーティングスペースがあるというような空間があって、社員はどこに座り、誰と横並びになろうと構わないという、完全なフリー化をしています。フリーアドレスにするメリットとしてよく言われているのは、出会いが変わるのです。固定席だと会社に着いてエレベーターに乗って、自分の席に着くまでのだいたいの道筋は決まりますよね。ところが、フリーアドレス化すると、道筋が毎日変わるのです。そうすると、出会いが変わるのです。我々にはたくさんのユニットが会社のなかにございまして、いろいろな部門があります。その部門間でいままでのように固定席に座っていると、一定の人数としか出会わないのですが、フリー化するといろいろな人との出会いがあって、「あ、電話しようと思ったんだよね、このあと」というような人と出会えたり、「メールを打とうと思っていたんだよね」というような人と出会える。それによって「メールを打とうと思ったけれどいいや、直接話そう」と思って話す。こういうちょっとしたきっかけがたくさん生まれること。これがフリーアドレスのいちばんいいところかなと思います。
黒木)一方で、フリーアドレスにしたことで課題も見つかったということなのですけれども。
今井)はい。見つかりました。
黒木)何でしょう?
今井)フリーアドレスなのに、固定席になってしまうという問題です。
黒木)どういうことですか?
今井)「毎日席を変えていいですよ」と全社でルール化をしたものの、人の心理は面白いですね。昨日座った席と同じ席に座ってしまうのです。
黒木)それは心理的なことだけですか?
今井)最初、私たちは心理的な問題かなと思っていたので、「心理的な問題ならば、強制的に同じ席に座らないようにしようね」と言っていたのですが、そうこうしているうちに、実は違うなという問題点がまた見えて来たのです。心理的な問題以外に見つかったのが、実は会社の業務のオペレーションだったのです。業務のオペレーションを司っている最大のものは何かと言うと、紙だったというところにつながりました。紙問題というものを解決しない限り、本当のフリーアドレスはできないのだということに気づかされました。
黒木)紙の文書ですね。それがあるために固定席になってしまった。
今井)そうなのです。
今井隆広(いまい・たかひろ)/コニカミノルタジャパン株式会社 リレーションマネージメント統括部・統括部長
■広告代理店でマーケティング等のプロモーション企画営業を10年行ったあと、大手ソフトウェアベンダーにて新規事業の企画、セールスから経営企画まで部門責任者として幅広く活躍。東証一部へのIPOにも貢献。
■2014年、コニカミノルタジャパンに入社。さまざまな業務プロセス改革を行い、社内保管文書ゼロ化のプロジェクトリーダーとして「働き方改革」の実現に貢献。
■その後、「働き方改革」にまつわる各種講演活動を全国で実施。「いいじかん設計」プロデュースにも関与し、現在は広報・EC・イベント・CR部門統括責任者として勤務。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳