「Amazonにも勝てる」ワークマンの秘策

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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に「株式会社ワークマン」専務取締役の土屋哲雄が出演。ワークマン式「しない経営」について語った。

土屋哲雄

黒木)今週のゲストは「株式会社ワークマン」専務取締役の土屋哲雄さんです。ダイヤモンド社から発売されている『ワークマン式「しない経営」』という本のなかに、「最大の敵はネット通販のAmazonだけれども、Amazonにも打ち勝てる」と書いてあります。

土屋)1つは価格で負けない。真っ向勝負なのです。

黒木)配送でも負けないで安くするという。

土屋)Amazonはラストワンマイルと言いますか、地区の拠点から家庭までの配送を自前でできますので、50円とか100円で配達してしまう。我々が宅急便を使うと絶対に負けるので、もう配送をせずに店舗で受け取っていただく。そのために、現在の店舗は902店舗ですが、10年~20年で2000店舗まで増やすことを考えています。店舗の在庫を使って、お客様が店舗で受け取れば、配送しなくて済みますし、品物があるので注文しても1分で受け取ることができます。そのような仕掛けをつくっています。

黒木)本のなかでの、早稲田大学の入山教授との対談も面白かったです。日本人は自己肯定感が低いという研究があって、セロトニントランスポーター遺伝子にはSS型、SL型、LL型の3種類があり、LL型の遺伝子を持つ人は楽観的でおおらかなのですが、日本人はどちらかと言うとネガティブな性格であるSS型遺伝子を持つ人が世界で最も高い。そのため、不安を強く感じることがあるとおっしゃっていて、それを受けて土屋さんが「人に行動を促すには褒めることが重要ですね」と答えています。

土屋)切迫しながら押してやる仕事が多過ぎて、期限もそうですしノルマもそうです。日本の経営者はまじめですから、期限を短くしてたくさんやろうとする。そして目標は大きくしてプレッシャーをかける。「3年で売上を20%伸ばします」と言うのはいいのですが、本当に3年でないといけないかと言うと、本当は4年でも5年でもいいのですよね。経営者もすべてできるとは思っていません。そのようなことをみんなに押しつけて、テンションを高めるというので、SS型になってしまうのです。しかし、それがなければ自分で何をやるかを見つけなければなりません。自分で見つけたことをやるというのは、押し付け感がありませんから、達成したときの満足感が高いのです。そのような会社をつくるための壮大な実験なのですが、どこまでうまく行っているかはわかりません。

黒木)やると決めたことは、どのようなことがあっても最後までやるのだと。

土屋)時間のない会社なので、できるまでやります。そうするとできてしまうのです。しかもけっこう短くできます。しかし「短くしろ」と言ったとたんに長くなってしまうのです。変な話ですけれど。

黒木)そうなのですね。他にも面白かったのが、「自分は50%間違っているのだ」というところでした。

土屋)この3年でやった最大の間違いは、「WORKMAN plus(ワークマンプラス)」のロゴを「WM plus」としてしまったことです。「WORKMAN plus(ワークマンプラス)」には「WORKMAN」が入っているので、ブランドとしてはまずいのではないかと思って、自分で「WM plus」というロゴをつくったのです。これをやっていたら大失敗で、ワークマンプラスが人気になっても、ワークマンにお客さんが行かなかったのです。「WM plus」だと何のブランドなのかわからないのですね。私も実際間違ったことが多いので、何かをやろうと思ったら必ず10人の話は聞きます。

黒木)レジを閉店のときに締めない。従業員が残って残業しなければならないから、という理由で昼間にレジを締めるというやり方をしているとか。

土屋)そうですね。レジを締めないと数字が固まらないので、経営的には問題なのですが、加盟店の店長が早く帰った方が長期的な売り上げにつながるのではないかと思うのです。8時に閉めて、8時5分には帰ってもらう。朝も7時に開店なのですが、6時55分に来て5分間で開店できる。そのような仕掛けをつくって、レジの精算は2時にやって、8時からはレジの引き出しをずっと出して、それを金庫にそのまましまって、そのまま帰る。だから5分で帰れるのです。

黒木)それも1つの「しない経営」だと思いますし、ストレスを溜めない、無駄なことをしない、ということにもつながっているのですね?

土屋)そうです。

土屋哲雄

土屋哲雄(つちや・てつお)/株式会社ワークマン専務取締役

■1952年、埼玉県深谷市生まれ。
■東京大学経済学部を卒業後、三井物産株式会社に入社。
■1988年、社内ベンチャー制度を利用して三井物産デジタル株式会社を起業。
■その後、三井物産経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司董事兼総経理、三井情報開発株式会社の取締役執行役員などを歴任。
■2012年、株式会社ワークマンに入社。常務取締役として情報システム部・ロジスティクス部を担当。2017年から経営企画部も担当し、2018年出店の新業態「WORKMAN Plus」を仕掛けた。
■2019年からは専務取締役として開発本部と情報システム部・ロジスティクス部を担当。
■2020年10月に初の著書『ワークマン式「しない経営」 4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』を出版。

<株式会社ワークマン>
■1982年8月設立。本社は群馬県伊勢崎市。日本全国800店舗以上。
■主に現場作業・工場作業など働く人に向けた作業服や関連商品を取り扱う専門店。
■ブルーワーカー向けの高機能で低価格な商品が数多く揃っていることもあり、仕事だけでなく、バイクの運転手やアウトドア愛好家の間でも人気。滑りにくい靴底の靴が、安全性に着目した妊婦さんに売れるなど話題となった。
■2018年にはカジュアル性を加えた「ワークマンプラス」を開店。2020年には作業着ではない女性向けの商品を扱う「#ワークマン女子」を開店。圧倒的な知名度と機能性でアパレル業界を席巻している。

番組情報

ENEOSプレゼンツ あさナビ

毎週月曜〜金曜 6:43 - 6:49

番組HP

毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳


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