東京都医師会理事で「葛西中央病院」院長の整形外科医・土谷明男氏が5月20日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。コロナ禍における、整形外科医から見た日頃必要な運動量や、運動方法について解説した。
飯田浩司アナウンサー)私はジムで泳ぐようにしているのですが、一向に体重が減りません。水泳はいろいろな泳ぎ方がありますが、整形外科医から見て、「こういう泳ぎ方がいい」「こう泳ぐと体のためになる」というやり方を、ぜひ教えていただきたいです。
土谷)体重が変わらなくても、体を動かすだけで意味があります。泳ぐときは、普段歩いたり走ったりするのとは違う筋肉を使いますので、泳ぐだけでも十分いいと思います。
飯田)そう言っていただけると気持ちが楽になります。近年は筋トレブームなどで、筋肉質な体がもてはやされるような部分もありますよね。
土谷)私の外来にいらっしゃる患者さんは高齢の方が多いのですが、高齢の方に筋肉が必要かと言われればその通りで、すごく大事です。特に高齢になって来ると、筋肉がどんどん衰えて行きます。筋肉を増強させることは、過剰には求めませんけれども、維持できるといいですね。しかし、筋肉だけが大事なわけではありません。いくら筋肉量が多くても、スポーツで言えば、それだけでスキルが上がるわけではない。高齢者も同じです。筋肉だけではなくバランス感覚、平衡感覚も衰えて行きます。ですので、平衡感覚も維持できるような運動を続けていただきたいです。
飯田)平衡感覚を維持する運動というと、どういうものが考えられますか?
土谷)高齢の方で言えば、単純に片足立ちなどです。それをやるだけでも違います。またストレッチも大事で、筋肉の柔軟性を高めることはケガの予防にもつながります。
飯田)よく言われるのが、家でも手軽にできるスクワット運動ですが、これはどうですか?
土谷)スクワットもいい運動だと思います。ただ、気をつけなければならないのは、スクワットは膝に負担がかかることがあります。深く曲げて膝が痛くなるほどスクワットをやるのは、少々やり過ぎだと思います。筋肉を増強させる目的でやるのであれば、翌日少し筋肉痛になる程度を1つの目安として、運動して欲しいと思っています。
飯田)少し筋肉痛になる程度ですか。
土谷)年をとると翌日など、やや遅れて筋肉痛が出ますよね。少し筋肉痛になる程度がちょうどいいのです。翌日動くのが辛くなるほどやるのは、やり過ぎかと思います。運動が続けられなくなってしまうからです。
飯田)「これだけ疲れているのだから、きょうはやらなくてもいいか」と思ってしまうということですね。それよりは、少しでもいいから毎日続けることが大事ですか?
土谷)そうですね。「心地よい程度の筋肉痛がいちばんいい」と、外来でもお話ししています。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます