夏休み、いまだけの「東北の駅弁」を楽しもう!
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
東日本大震災から10年の令和3(2021)年、4月から9月までの半年にわたって、東北地方をエリアにJRと自治体がタッグを組んだ観光キャンペーン「東北デスティネーションキャンペーン」が開催されています。これに合わせて東北地方の駅弁屋さんでは、さまざまな新作や期間限定駅弁を販売しています。今回は、秋田県の駅弁屋さんが製造している限定駅弁に注目してまいります。
東北の新作&限定駅弁(秋田県・前編)
E751系電車の特急「つがる」号が秋田・青森県境にある矢立峠に差し掛かります。汽車の時代は苦労したであろう峠越えですが、いまの電車は難なく軽快に走り抜けて行きます。かつては、寝台特急「あけぼの」や「日本海」などの長距離列車が駆け抜けていましたが、いまの主役は4両編成の身軽な「つがる」号。ときどき、長距離貨物列車がやって来ると、奥羽本線のこの区間が、日本海縦貫線の一翼を担っていることを感じさせてくれます。
青森との県境にある秋田県大館市は、ご存知「ハチ公」のふるさととして有名です。大館駅前にも「ハチ公」の銅像がありました。いまは2019年、昔、鉱山輸送で賑わった小坂鉄道・大館駅の跡地にオープンした「秋田犬の里」に移されて主人の帰りを待っています。秋田犬の里には、秋田犬展示室もあってガラス越しに秋田犬を見られます。なお、大館駅の観光駅長には、今年の7月1日から秋田犬の「誉(ほまれ)」が就任しています。
秋田犬の里の建物は、ハチ公がいた時代の「渋谷駅」をモチーフに作られたと言います。そして去年(2020年)には、渋谷駅のハチ公口に設置されていた“青ガエル”こと、東急5000系電車(初代)が移設され、この春から一般公開されました。車内では、30年以上にわたって続けられている、秋田・大館と東京・渋谷の交流の歴史が紹介されています。待ち合わせの人に囲まれる青ガエルもいいですが、青空の下の青ガエルもいいですね。
大館の名物駅弁と言えば、ご存知「鶏めし弁当」。このスペシャル版と言ってもいいのが、東北デスティネーションキャンペーンに合わせ、大館駅弁の花善が製造・販売している「奥羽本線いいもの鶏樽めし」(1100円)です。昭和40年代に人気を博したという「鶏樽めし」の容器を再現し、奥羽本線沿線の秋田・青森の食材をたっぷり詰め込んだ駅弁。数量限定7000個(なくなり次第終了)で販売しています。
【おしながき】
・鶏めし(秋田県大館市) ご飯 鶏肉の甘辛煮 そぼろ玉子 飾り蒲鉾 いんげん
・ホタテの甘露煮(青森県むつ産)
・ハタハタの塩焼き(秋田県男鹿産)
・イカメンチ(青森県津軽地方)
・小女子の佃煮(秋田県潟上市八郎潟)
・りんごのシロップ漬(青森県産)
・ちょろぎ(秋田県県南地方)
・きゅうり漬け(花善特製オリジナル)
大館名物の「鶏めし」がたっぷり詰まった樽の上には、いつもの鶏肉の甘辛煮に加えて、秋田からはハタハタの塩焼きやしらすの佃煮。青森からはホタテの甘露煮にイカメンチと、鶏めしと海の幸を一緒にいただくことができるのが大きな特徴。デザートとしてりんごのシロップ煮も入って奥羽本線・秋田~青森間の旅のお供には最高の組み合わせです。なお、花善によると、好評につき、現在は大館駅前の花善弁当販売処の限定販売で近日中に完売見込みとのこと。ご近所でまだ未食だった方は、予約をしてお早めに……。
特急「つがる」は、新青森で東北新幹線「はやぶさ」、秋田で秋田新幹線「こまち」と接続して運行されています。秋田~青森間は、特別料金不要の普通列車でも3410円ですが、約3週間前までの予約で利用できる特急「つがる」の「お先にトクだ値スペシャル(乗車券つき)」を利用すると、50%割引の2840円で秋田~青森間を移動することができます。駅弁の予約も、きっぷの予約も、早めに済ませておくと、いろいろなお得がありそうです。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/