東京都医師会副会長で感染症担当、「角田外科消化器科医院」院長の角田徹氏が1月14日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。3回目のワクチン接種と今後の新型コロナウイルス対策について解説した。
3回目のワクチン接種
飯田浩司アナウンサー)3回目のワクチン接種が始まりました。先生は医療従事者でいらっしゃるから、もう打ちましたか?
角田)私は3回目を打ちました。
飯田)接種券がまだ来ないという方もいらっしゃると思いますが、来たら打つという感じですか?
角田)接種券が届けば、2回目を打ってから6ヵ月経っているということですから、可能な方は打っていただきたいと思います。
治療薬ができたことによって変わった景色
飯田)いままでは対症療法的な投薬しかできなかったけれど、治療薬が出て来ました。これで景色が変わりますか?
角田)大きいですね。8月のときは、私たちは戦う武器がなかったのです。でも、いまは重症化予防の意味で飲み薬もあるし、点滴の形で投与する中和抗体薬もあります。それらが使える体制を取れたことは大きいです。
感染症対策でいちばん大切なのは「罹らない」こと
飯田)重症化予防ができるというのは、いままでだと入院しなければいけなかった人たちが、その前で踏みとどまれる可能性が高くなるということですか?
角田)いま出ている「モルヌピラビル」は、重症化率を50%下げますから、しっかりと使えば半分の方が重症化しないで済むということになります。
飯田)この先、オミクロン株によって感染者は増えるかも知れないけれども、重症化率は低くなる。さらに重症化を抑えて行く手立てもあるということになります。全体的に考えると、戦って行くことは十分可能ですか?
角田)十分に戦えると思います。ただ、感染者数が爆発的に増えると立ち行かなくなってしまいます。感染症対策でいちばん大切なのは「罹らない」ことです。予防がいちばん重要な政策ということは変わりません。
飯田)その辺りでやるべきことは何ですか?
角田)個人ができる対策で言うと、手洗い、マスク、換気。体調不良になったら、人と会わない、出社しないということが重要です。組織としては、なるべく不要不急の会合や、人が集まる状況を避けていただく。それが守りの対策とすれば、攻めの対策はワクチンです。ワクチンを打てる人はぜひ打っていただきたいと思います。
この先、インフルエンザ程度のウイルスになることが予想される
飯田)そういった方法で、次の波を乗り越える。そうすると、社会全体として別の景色が見えて来ますか?
角田)過去の感染症を見てもそうなのですが、新しいウイルスが出て来ると猛烈な勢いで拡がります。重症化して亡くなる方も、かなりの数になります。そういった波を繰り返して行くと、こちらも抗体を持った人たちが増えて、感染しづらい、または重症化しづらい人が増えます。また、ウイルス自体も少し変わって行きますから、この先、新型コロナウイルスも普通の風邪のようなウイルスの1つ、ないしはインフルエンザ程度のウイルスになって行くことが予想されます。
感染状況を意識しながら、それぞれの社会活動を考える
飯田)そこまで行き着くことができれば、かつての日常が戻って来ることになるわけですか?
角田)いまは大変ですし、8月も大変でした。これから、もう少し大変になる時期が来るかも知れません。しかし、そこを乗り越えれば収束が見えて来ます。その場、その場で、感染状況を意識しながら、それぞれの社会活動を考えていただく。学校も社会活動も続けなければいけません。個人個人の意識のもとに社会全体が動くということが重要だと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます