意外と知らない「緑内障」 ~自覚症状がなくわかりにくい
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東京都医師会理事で「ささき眼科」院長の佐々木聡氏が2月3日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。緑内障について解説した。
緑内障 ~視神経から脳に情報を運ぶためのケーブルが異常に早く失われる
飯田浩司アナウンサー)今回は、大人が視力を失う可能性のある3大原因のうち、第1位となっている「緑内障」についてお聞きします。名前を聞いたことがある人は多いと思いますが、どのような病気なのかというのは、私もあやふやです。基本的なところを、まずは教えていただけますか?
佐々木)「緑内障診療ガイドライン」というものに定義が書いてあります。「緑内障というのは、視神経と視野に特徴的な変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善、もしくは抑制し得る、眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」と書いてあります。簡単に言えば、「視神経がやられて、視野異常・視野障害をきたす病気」ということです。
飯田)視神経。
100万本ある脳に情報を運ぶケーブル ~1年に5000本ずつ失われる
佐々木)視神経です。目のなかには、光を感じた細胞から脳に情報を運ぶための神経のケーブルがあります。これが100万本あるのです。この100万本のケーブルは、健康な人でも1年間に5000本ずつ失われて行くのです。
新行市佳アナウンサー・飯田)そうなのですか。
佐々木)100年生きると、半分に減ってしまうのです。
飯田・新行)半分に。
佐々木)「視神経の減りが異常に早くなると緑内障になる」と考えれば、わかりやすいと思います。そのなかで、減りやすい部分があるのです。
自覚症状がなく、わかりにくい
飯田)自覚症状は出ないのですか?
佐々木)視野障害が進行しても、ほとんど気付かないのです。視力も最後の最後まで落ちません。もちろん痛くもないし、痒くもないし、赤くもないし、重くもない。視力も落ちないし、視野狭窄も来ない。本当にわかりにくいのです。
飯田)漢字のイメージからですが、視野が緑になるというわけでもないですよね?
佐々木)ないですね。どちらかと言うと、緑よりも黒というイメージのようです。最終的には黒く、暗くなってしまうイメージと考えてください。
緑内障の悪化要因の1つが「強度近視」
新行)以前、眼科検診に行ったときに、「あなたの目は緑内障になりやすい目だから、40歳ぐらいになったら、定期的に眼科検診を受けるようにしてください」と言われたのですけれど、緑内障になりやすい目があるのですか?
佐々木)緑内障の悪化要因の1つとして、大事なのが「強度近視」なのです。
新行)近視です。
佐々木)近視が強いと視神経が変形するのです。視神経が弱いところに、強度近視で視神経がねじられて、より悪化しやすい。「強度近視にならないようにする」ということは、将来の緑内障を防ぐという意味では大事になります。
年齢が高くなると増えて行く
飯田)「高い年齢であればあるほど」ということはありますか?
佐々木)40歳以上の5%、20人に1人が緑内障であると言われています。それが60代だと6%、70代だと10%と、年齢が高くなるほど増えて行く病気です。
新行)男女差は特にないですか?
佐々木)あまりないと言われています。
眼底検査でわかる
飯田)どういう検査で発覚するのですか?
佐々木)大事なのは「眼底検査」です。眼の奥を診る検査になります。慣れている専門医が診れば、ある程度見ただけでも、「緑内障の傾向があるかどうか」というのがわかります。
飯田)人間ドックで眼の検査がある場合もあります。ストロボのようなもので撮影する、あれですか?
佐々木)あれが眼底写真です。「視神経に少しおかしいところがあるな」ということはわかると思います。
定期健診を受けること
飯田)緑内障について、リスナーの皆さんが普段から注意できることがあれば、教えていただきたいと思います。
佐々木)とにかく、定期的に検査を受けることです。
飯田)それによって、早めに端緒をつかむと。
佐々木)そうすれば防げると思います。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます