東京都医師会監事で「さいとう医院」院長の斎藤寛和氏が3月2日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。糖尿病をコントロールする方法について解説した。
国や自治体による糖尿病対策
飯田浩司アナウンサー)糖尿病が強く疑われる人が1000万人、糖尿病の可能性を否定できない人が1000万人、合わせて2000万人という糖尿病について伺っております。医療費がかかるという部分も含めて、医療経済的にも課題になっています。当然ながら、国や地域・地方でも対策はしているわけですよね?
斎藤)最も大きな対策と言えるのは、国保組合や企業の社会保険組合が主体となって行っている「特定健診」というものです。糖尿病だけではなく、高血圧、高脂血症など生活習慣病全般にわたって、それにかかっている人、予備軍の人を早期に発見して特定保健指導を行い、リスクを減らして行くものです。特に財政負担の大きい透析に至ることのないように、糖尿病性腎症の予防プログラムというものもあり、一定の成果を上げているようです。
血液検査で血糖値の上昇を把握
飯田)どんな検査方法で糖尿病の疑いが判明するのですか?
斎藤)生活習慣病の1つですから、BMI、身長・体重の比率ですね。それから腹囲といった肥満傾向を把握するもの。あとは血糖、HbA1c(ヘモグロビンA1c)、尿検査などの血糖関連です。検査を組み合わせて危ない人を見つける、あるいは重症度を判定することになります。
飯田)なるほど。
斎藤)「尿に糖が出る」ということで糖尿病と言うわけですけれど、その原因は血糖が上がることです。血液のなかの糖分は通常、100mg/dL(デシリットル)以下に、特に空腹時はなっているわけですけれども、これが高くなって200や300になると、尿に糖が出て来ます。しかし、「尿に糖が出る」ということが病気の本体ではなく、本体の方は血糖が上がるということで、その部分は血液検査で把握します。
糖尿病は治すことはできないけれども、コントロールすることはできる病気 ~糖分、炭水化物を控えて総カロリーを減らす
飯田)通常の定期健診のなかで行う項目で数字が出て、その先の指導をきちんと聞くかどうかというところになるわけですね。
斎藤)指導を受けていただければ、かなりの部分は予防、あるいはコントロールできます。よく言われていますが、糖尿病は治すことはできないけれども、コントロールすることはできる病気です。
飯田)血糖という部分を考えると、食べ物などに気を付けるということになりますか?
斎藤)糖尿病の治療の基本は食事療法になります。カロリーを摂りすぎないということです。カロリーが多いものと言うと、糖分、炭水化物になります。もちろん脂肪もありますが、そういったものをバランスよく減らして行き、総カロリーを減らしていただく。これがいちばんの基本です。あとは運動療法。入って来た糖分を消費していただくということです。
週に3回、30分のウォーキングを
斎藤)運動すると、糖分を細胞のなかに取り込んでくれるインスリンというホルモンの感受性が高まるのです。少ないインスリンでも有効に仕事をしてもらえるようになります。運動にはいろいろなメリットがあります。もちろんマラソンをしろとは言いません。軽く、ちょっと息切れしたり、息がはずむくらいのお散歩でいいので、1日に30分~40分やっていただいて、週3~4回は体を動かしていただくことが大切だと言われています。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます