漢方薬が得意とする「症状」 ~副作用が気になる人にもおすすめ
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「セイメイ内科」院長の韋晴明氏が3月21日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。西洋医学と漢方治療の関係について解説した。
西洋医学と東洋医学の長所を取り入れた診療
新行市佳アナウンサー)「セイメイ内科」は西洋医学に加えて、漢方治療も取り入れたクリニックと伺っているのですが、どのようなクリニックなのでしょうか?
韋)「セイメイ内科」では、患者さんの個性や体質を重視して、西洋医学と東洋医学の長所を取り入れた診療をします。血圧や血糖値、悪玉コレステロールを下げるには西洋医学が効果的です。副作用の少ない、いい薬がたくさんありますので、あえて漢方を使う必要はありません。
新行)血圧や血糖値、悪玉コレステロールを下げるのであれば。
韋)一方、原因がはっきりしないのに疲れやすいとか、元気が出ない、体が冷えるというような症状には漢方治療が有効です。また、西洋医学の薬の副作用、例えば花粉症の薬で眠気が出る、便秘の薬でお腹が痛くなる、あるいは睡眠薬は依存性ができるので怖いというような、副作用が気になる方にも漢方治療はおすすめです。「セイメイ内科」では、西洋医学と東洋医学の得意分野を生かして治療しています。
漢方治療とは
新行)漢方治療を定義するとどうなりますか?
韋)漢方薬は複数の生薬、植物由来のものだけではなく、セミの抜け殻など動物性のもの、あるいは石膏などの鉱物もありますが、それらを2種類以上混ぜ合わせてゴトゴト煮出し、温かいうちに飲むというのが本来の飲み方です。
新行)温かいうちに飲む。
韋)いまは煮出した液体成分をフリーズドライ加工して、粉末状や顆粒状にし、アルミでパッケージされた「エキス剤」として使うことが多いです。東洋医学には鍼灸など、薬を使わない治療もありますが、漢方治療は漢方薬を使う治療法です。
西洋医学の現場でも行われている漢方治療
新行)「セイメイ内科」では、「西洋医学と東洋医学のいいところを合わせて診る」という話でしたけれども、西洋医学の現場でも漢方治療は行われているのですか?
韋)使われていると思います。いまの時期であれば、花粉症や気管支喘息などに漢方をよく使います。あるいは便秘や胃が弱くて困っているという症状の治療も、漢方の得意とするところです。また、原因はわからないけれど疲れやすい、体が冷えるなど、病名がつかないような症状にも漢方は対応することができます。
漢方の講義が少ない日本の医学部
新行)医師の先生のなかでも、漢方を処方する先生と処方しない先生がいると思うのですが、違いは何なのでしょうか?
韋)1つは「漢方薬を勉強しよう」というモチベーションの高いドクターかどうかでしょう。漢方薬を使わなくても、自分は西洋医学だけで患者さんを満足させることができるのだと、そういう自負を持っていらっしゃる方は、あえて漢方に手を出さない方もいるかも知れません。自分で飲むとよくわかるのですが、「漢方は効く」という実感を持てた方は、患者さんにもお出ししようと思うのではないかと思います。私自身もそういう経験をしました。
新行)そうだったのですね。ということは、お医者さんでも漢方を処方するならば、漢方の勉強もしっかりしなければならないということですね。
韋)しかし日本の医学部では、漢方の講義はほとんど行われていないですね。
新行)そうなのですか。
韋)最低限、4コマ~5コマは行うことになっているのですが、入門編のごく一部だけで、専門的な講義をしている医学部は日本でも数少ないです。西洋医学を勉強し、卒業して医師になるわけですけれど、医師になってからいろいろな講演会に行く、あるいは有名な大家のところに行くなど、独学で勉強する方が多いです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます