あることがきっかけで開発された聴診器 ~そのきっかけとは
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医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が4月4日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。聴診器がつくられた経緯について解説した。
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ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」
聴診器ができた理由
飯田浩司アナウンサー)お医者さんと言えば聴診器ですが、今回は聴診器について教えてください。
森田)医師や看護師が使っている医療器具である聴診器ですが、この聴診器はあることがきっかけでつくられたとされています。ある女性がきっかけでつくられたのですが、その女性はどんな方だったと思いますか?
飯田)ふくよかな女性ですか?
森田)正解です。聴診器はグラマーな女性がきっかけでつくられたとされているのです。聴診器がなかった時代、医師は患者さんの胸に直接耳を当てて心臓の音を聴いていました。
グラマーな女性の胸にノートを丸めて筒状にして心臓の音を聴いたのが聴診器のはじまり
森田)1816年、フランスのラエンネック医師が、心臓が悪い女性を診察していたのですが、その女性がグラマーで心臓の音がよく聴こえず、女性本人も恥ずかしい素振りを見せていました。そこでラエンネックは、グラマーな女性でも心臓の音を聴き取れて、恥ずかしがらないような方法はないかと考えます。その際、ノートを丸めて筒状にし、患者さんの胸に当てて聴いたところ、心臓の音がはっきりと聴き取れたということなのです。
飯田)ノートを丸めて。
森田)これをもとに聴診器ができました。聴診器の発明によって、当時、不治の病として恐れられていた結核の早期発見に、劇的な貢献をもたらす結果となったのです。
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新行市佳アナウンサー、森田豊氏、飯田浩司アナウンサー
聴診器を通して「ラ音」が聴こえたら気管や肺に異常がある
森田)医師や看護師が学んでいるもので、異常な音とされている「ラ音」というものがあります。ラ音とは聴診の際、気管や気管支、肺に異常がある場合に聴こえる音のことです。ドイツ語では「ラッセルゲロイシュ」と呼んでいて、これを縮めて「ラ音」と呼んでいます。また、「ベルクロラ音」という表現もあって、ベルクロ社(マジックテープのメーカー)の名前に由来しています。マジックテープを剥がすときに「バリバリッ」という音がするではないですか。その音にちなんで、これも「ラ音」と呼んでいます。
飯田)気管支に異常があると、「バリバリッ」という音が聴こえるのですか?
森田)そのような音も聴こえます。ラ音にもいくつか種類があるのですが、それを聴き分けて病変がどのような状態なのかを診断するのが医師です。いまはCTやレントゲンなどがあるので、そちらに頼りがちなのですが、CTやレントゲンがなくても、医師は聴診器を使ってある程度の診断ができるということです。