手術中に“ラップ・ミュージック”を流すと執刀医のパフォーマンスが向上する

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医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が4月8日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。医療における「手術と音楽」について解説した。

手術中に“ラップ・ミュージック”を流すと執刀医のパフォーマンスが向上する

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

医師の90%が手術中に音楽を流している

飯田浩司アナウンサー)「音の医学」というテーマで医療と音のさまざまな関係について伺っておりますが、今回はどのようなお話でしょうか?

森田)音楽と手術の関係です。ドイツのハイデルベルク大学の研究によれば、手術中に音楽を流すと、執刀医のパフォーマンスが上がるという研究結果があります。音のない状況に比べて、70デシベル以上の音を聴いている場合は、外科医のパフォーマンスが上がったということです。70デシベルというのは、高速道路を走行中の自動車レベルの音なので、かなり大きい音だと思います。

飯田)大きいですね。

森田)彼らの報告では、医師の90%が手術中に音楽を流しているという情報もあり、実際、日本でも多くの手術室でCDやスマートフォンのプレイリストを利用して音楽を流しています。局所麻酔の場合は患者さん自身が曲を選べることも多く、手術に対する緊張や不安を和らげる効果もあるので、患者さんが選ぶのですが、全身麻酔の場合は患者さんが寝てしまうので、医師が手術を進めやすい曲を選んでいます。

人気ジャンルの1位はロックで49%

飯田)お医者さんはどのような曲を聴いているのでしょうか?

森田)手術中の音楽についての調査結果があるので、ご紹介します。50ヵ国以上、700人以上の外科医や医療関係者に調査したところ、医師の90%が手術中にオペ室で音楽を流しているということがわかりました。

飯田)ワールドワイドなのですね。

森田)さらに、そのなかの3割は自分で手術用のプレイリストを作成していたということです。

新行市佳アナウンサー)皆さんこだわりがあるのですね。

森田)人気ジャンルの1位は、何とロックで49%。

飯田)むしろ上がる方ですね。

森田)続いてポップスが48%、クラシックが43%、ジャズが24%ということです。

手術中に“ラップ・ミュージック”を流すと執刀医のパフォーマンスが向上する

新行市佳アナウンサー、森田豊氏、飯田浩司アナウンサー

執刀医のパフォーマンスを向上させるのはラップ、パフォーマンスを下げるのはロックとラジオ

森田)さらに英紙『Daily Mail』の報道によると、ドイツのハイデルベルク大学メディカルスクールの研究員たちの実験では、ラップが外科医や執刀医のパフォーマンスを向上させるということです。

飯田・新行)ラップですか。

森田)医学部生82人にラップ、ロック、クラシック、ラジオのいずれかを聴きながら手術を実施させたところ、ヒップホップとクラシックを聴いた学生はパフォーマンスが上がったのですが、ロックとラジオを聴いた学生のパフォーマンスは下がってしまったということです。

新行)ラジオはパフォーマンスが下がってしまうのですか。

森田)やはりラジオだとストーリー性があるので聴き入ってしまい、手術に集中できない可能性があるのではないでしょうか。私もいろいろな人と手術をしてきましたが、先輩のなかに都はるみやジュディ・オングが好きな人がいて、大音量で流すのです。私は助手でしたが、集中できなくて本当に困った思い出があります。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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