横浜駅の「朝」に欠かせない列車と駅弁とは?
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
早朝の東海道本線を駆け抜ける、日本唯一の定期夜行列車「サンライズ瀬戸・出雲」号。上り列車は、時刻通りの運行なら、横浜には朝6時44分に到着します。その横浜駅の売店には、平日朝だけ販売される弁当があります。今回は、横浜駅弁・崎陽軒の“朝食駅弁”をご紹介しましょう。
駅弁de朝食を!(第2回/全3回)
港町・横浜に西から朝を連れてやって来るのが、夜を通して、東海道・山陽本線を駆け上って来た寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」。朝7時前、定刻通りに横浜市内を通過し、多摩川を渡って東京都内へ入っていくのを見ると、ひと晩トラブルなく運行されたことに、感慨深い気持ちになるものです。夜行列車の乗客としては、少し気だるさが残る朝、終着駅に着いて、半ば強制的に“朝をスタートさせられる”のも、ひとつの旅情ですよね。
上り「サンライズ瀬戸・出雲」が着く少し前の朝6時、横浜駅中央通路の崎陽軒売店に、名物のシウマイ弁当とともに並べられるのが、「ハマの朝ごはん弁当」(640円)です。横浜のまちに朝日が差し込む風景が描かれた掛け紙のこの弁当は、神奈川地区一部店舗で、平日の午前中限定で販売されています。朝ごはんの欠食が問題となっているなかで、「崎陽軒としてできることは何か?」と考えた結果、開発されたと言います。
【おしながき】
・白飯 トッピング:梅干し
・昔ながらのシウマイ
・秋鮭の塩焼き
・豆腐真丈煮
・煮物(人参煮、椎茸煮、筍煮、金平蓮根煮)
・厚焼玉子
・菜の花しょう油漬け
焼き魚、玉子焼き、練り物(豆腐真丈)と幕の内の基本を押さえつつ、ボリュームも抑えた「ハマの朝ごはん弁当」。ただ、何度かいただいたことがある方なら、“いつも”との違いに気付きますでしょうか。そう、6~8月の間は、ご飯のお供が「梅干し」になっているんです。ここは季節によってアレンジされ、飽きにくい作りとなっているのも、興味深いところ。朝から駅弁で、思いのほかバランスのいい食事が楽しめることでしょう。
「サンライズ瀬戸・出雲」のあと、15両編成の普通列車と通勤特急の「湘南」が数分おきに上っていく朝の東海道本線。コロナ禍で在宅勤務が増えたとはいえ、朝はまだまだ駅弁を楽しめる環境とは言えませんが、早朝列車は“いつもの顔ぶれ”が決まっているのも特徴。
日の出が早い時期、早めに家を出て常連さんたちに混じりながら、いつもとは違う景色を楽しんでみるのも、面白いかも知れませんね。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/