なぜ高齢の女性に「骨粗鬆症」が多いのか
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東京都医師会理事で「葛西中央病院」院長の整形外科医・土谷明男氏が10月31日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。骨粗鬆症について解説した。
骨粗鬆症とは「骨が折れやすい状態」のこと ~ヒビとは「ズレていない骨折」
飯田浩司アナウンサー)骨粗鬆症について伺います。「名前を聞いたことはある」という方は多いと思うのですが、改めてどのような病気なのか教えてください。
土谷)骨粗鬆症とは、「骨が折れやすい状態」のことを言います。骨密度が下がって、あるいは骨の質が悪くなって、骨が折れやすい状態です。
飯田)ヒビが入るようなこともあるのでしょうか?
土谷)例えば「体をぶつけてしまった」というようなことで外来に来るわけですが、「先生、骨が折れていますか?」と聞かれ、「ヒビが入っていますね」と言うと、「骨折ではないのですね」と患者さんは言います。私はその度に、「ヒビが入っている状態は骨折ですよ」と答えています。
飯田)そうなのですか。ヒビが入っていても「骨折」という診断になるのですね。
土谷)そうですね。「ズレていない骨折」を「ヒビ」と言っています。
飯田)ズレると程度の重い骨折になるのですね。
自覚症状がない ~1度は骨密度を調べてもらうべき
飯田)骨粗鬆症には症状のようなものはあるのでしょうか?
土谷)実は症状はありません。
飯田)自覚できないのですか?
土谷)はい。「折れやすい状態」であり、折れる前の状態も含んでいるので、症状がないのです。
飯田)そうすると、いきなり「あなたは骨粗鬆症ですよ」と言われるのですね。驚かれる方も多いのではないですか?
土谷)そうですね。気が付くと骨粗鬆症だったということはよくあります。実際に調べるまでは自覚症状がないので、調べて骨密度が低く、「骨粗鬆症ですね」と言うと、皆さんなぜかはわからないのですが「骨には自信があったのに」と言うのです。
飯田)そうなのですね。
土谷)どのような根拠なのかはわかりませんが、ほとんどの人は骨に自信があるようです。不思議です。もしかすると昔、「骨太」などと言われていたのかも知れませんが、「骨には自信がある」という人が多いですね。対象になる方は、1度は骨密度を調べてもらうといいと思います。
生理が終わった女性に多い骨粗鬆症 ~「エストロゲン」が減り、骨を溶かす細胞の方が活性化される
飯田)患者さんの数や年齢には特徴がありますか?
土谷)圧倒的に高齢の女性が多いです。
飯田)理由はあるのでしょうか?
土谷)ホルモンと関係があります。女性は生理が終わると骨密度が下がっていきます。
飯田)生理が終わると体質が変わることがあるのでしょうか?
土谷)「エストロゲン」というホルモンの量が減っていきます。骨をつくる細胞と骨を溶かす細胞があるのですが、エストロゲンというホルモンが減ってくると、骨を溶かす細胞の方が活性化されます。骨はカチカチで全然変わらないように思われますが、実は古い骨が溶けて新しい骨ができるのです。
生理が終わってからの期間が長ければ長いほど、骨密度は低くなる
飯田)一見すると、骨は昔から同じようなものがあるのだと思いがちですが、常に新陳代謝しているのですね。
土谷)そうなのです。骨も代謝しています。その代謝のバランスが、生理が終わると変わります。そして、どちらかと言うと骨が溶ける方が強くなっていくのです。
飯田)つくる方が追いつかなくなるのですね。
土谷)新たな骨もつくられてはいるのですが、溶ける量が増えて、骨密度が下がっていきます。女性は生理が終わってからの期間が長ければ長いほど、骨密度が低くなるということです。
番組情報
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます