介護施設の高齢者の1割は「ワクチン接種しても抗体ができない」

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東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が11月18日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。抗体検査の活用について解説した。

※画像はイメージです

「抗原検査」と「抗体検査」の違い

飯田浩司アナウンサー)今回は、尾﨑先生が以前から唱えていらっしゃる「抗体検査」の活用について伺います。最近よく耳にする言葉に「抗原検査」があります。新型コロナに感染したかどうか、最初にゲートウェイとして検査するものですが、「抗原検査」と「抗体検査」は何が違うのですか?

尾﨑)抗原検査は、ウイルスのタンパク量を見るのです。体内のウイルスが多い状態になるとウイルスのタンパク量が増えますから、それがどれくらいあるかを見ます。つまり抗原検査は「感染しているかどうか」を調べる検査です。

飯田)抗体と抗原はまったく別物ですか?

尾﨑)そうです。病気になって抗原となるウイルスや細菌が入ったときに、人間がそれに対して反応し、「抵抗力の基」になるものができるのですが、それが「抗体」です。例えばmRNAワクチンを打つときは、スパイクタンパクに対する抗原になるものを入れて、抗体をつくるわけです。この場合はスパイクに対する抗体で、「S抗体」というものができます。

飯田)電子顕微鏡で見ると、トゲトゲした部分ですよね。

尾﨑)いわゆる「コロナ」という名前がついた原因と言われているものです。

飯田)あのトゲトゲに対応する抗体ができてくる。それがS抗体。

mRNAワクチンを打つとスパイクタンパクに対する抗体「S抗体」ができる ~新型コロナに感染すると、スパイクタンパクに対する抗体もウイルスに対する抗体もできる「N抗体」

尾﨑)コロナワクチンを打つと、それができてくる。抗原に対して抗体ができるので、ウイルス本体の中身に対する抗体はできません。

飯田)なるほど。

尾﨑)ところが、実際に新型コロナに感染した人は、もちろんスパイクタンパクに対する抗体もできるし、ウイルスのなか、球体の中身に対しての抗体もできるわけです。そのなかの1つが「N抗体」というものです。

新行市佳アナウンサー、尾﨑治夫氏、飯田浩司アナウンサー

N抗体を調べれば感染したかどうかがわかる

尾﨑)N抗体を調べると、その人が新型コロナウイルスに実際に感染したかどうかがわかるというわけです。

飯田)いま罹っているかどうかだけでなく、前に感染したかもわかるのですか?

尾﨑)ある程度はわかります。「そんなことをやる必要はない」と言う人もいると思いますが、実は不顕性感染というか、症状がほとんどなくても感染している人が、新型コロナ感染者の1割ほどいると言われています。

飯田)1割。

尾﨑)そういう人たちは症状がないので、自分では感染したかどうかがわからないのです。しかし、抗体を調べれば感染しているかどうかがわかります。そうすると「実際に街中でどのくらいの人が新型コロナに自然に感染しているのか」「予防接種でどれくらいの人が抗体を持っているのか」ということがわかります。

ワクチン接種しても抗体ができない人

尾﨑)もう1つは、ワクチンを打った人に抗体検査を行ってS抗体を調べてみると、3~4回打っていても、ほとんど「抗体ができない人」がいることがわかってきました。特に高齢者施設にいる介護度の高い方、ほとんどベッドで過ごしているような方には、1割ぐらいそういう方々がいらっしゃいます。

飯田)これも1割。

尾﨑)いままでは、施設の従事者も「ワクチンを打っていれば、抵抗力があるから大丈夫だ」という考えでやってきたのです。

飯田)ワクチン接種をしているから。

尾﨑)しかし、施設内で感染が起きたとき、「抗体ができない1割の方たちをどうやって守るか」を考える必要があります。選択的にそういう方々を守る仕組みをつくれば、高齢者施設のなかで亡くなる方がだいぶ減るのではないかと考えられます。そういう予防的な戦略にも、抗体検査を使っていこうと思っています。

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