米粉料理家・管理栄養士の中村りえさんが、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。小麦アレルギーやグルテンフリーを気にする人が増えて再注目される「米粉」の魅力や、料理での使い方、米粉が「ヘルシー」と言われるわけなどを紹介した。
中村さんは、大手食品メーカーでの商品開発や、健康保険組合での健康セミナー企画を経て独立。家族の小麦粉アレルギーをきっかけに「米粉」に出合い、米粉のおいしさに魅了される。管理栄養士としての知見を活かし、レシピ開発やコラム執筆など、さまざまなメディアで活躍している。
そんな中村さんに、番組の進行を務める上柳昌彦アナウンサーと東島衣里アナウンサーが、米粉の魅力を聞いた。
■「小麦アレルギー」「グルテンフリー」を気にする人が増えて「米粉」が注目
上柳:「小麦アレルギー」という言葉、最近はよく聞きますよね。
中村さん:そうですね、小麦アレルギーを持っている方は多いですね。アレルギー自体を持っている方もここ数年で増えてきています。
上柳:アレルギーがあると食事が限られてしまいますよね。
中村さん:小麦アレルギーがあると、他に複合して牛乳やたまごもダメだったり、アレルギーが1つだけじゃない方もよくいらっしゃいます。
東島:そのアレルギーを持つ方の増加に伴ってか、最近は「グルテンフリー」という言葉もかなり耳にする機会が増えましたね。
中村さん:「アレルギー」「グルテンフリー」を気にする方が増えて、米粉の需要率が少しずつ上がってきています。アレルギーに関係なく、レストランでは「米粉を使うとモチモチした食感になるから使いたい」と言って選ぶ方も増えてきているので、米粉の需要が増えています。
東島:たしかに、米粉ブームが数年前からきている感じを受けます。
中村さん:米粉の需要率は、5年前と比べると1.7倍に増加。米粉を求めている人が増えているんです。
■小麦粉の代わりに米粉を使うメリット
中村さん:米粉のいいところですが、まずは、もちもち、しっとりとした食感が魅力的です。そして、「甘さ」を感じるところ。米粉をお菓子に使うと、ほんのりと米特有の甘さが出るので、砂糖を控えめにしてもおいしく仕上がります。
東島:先生のレシピ集『米粉のおやつとおかず』(宝島社)がいま手元にありますが、ロールケーキやシフォンケーキも米粉で作れるのですね。米粉で作ると、どんないい点があるのでしょうか?
中村さん:先ほどもお伝えしましたが、米粉で作ると砂糖をちょっと控えてもおいしく仕上がります。天ぷらとか唐揚げに米粉を使うと、小麦粉より油を吸わない、“油の吸収率”を抑えられるのでカリッと仕上がってヘルシーです。例えば、揚げるお菓子の代表であるドーナツも、米粉で作ればヘルシーです。
上柳:油の吸収率とはどういうことですか?
中村さん:揚げ物をすると油が生地にどんどん入って行くのですが、米粉は油をそこまで吸わないからベタつかないし、カリッと仕上がります。
上柳:米粉、優秀ですね。
東島:いいとこ尽くしですね。
中村さん:もともと日本は米の文化があるので、米粉料理を食べるとなんとなくホッとします。小麦で作ったものとそんなに味の大差も無く、「米粉を使っているんだよ」って言われないと分からないくらいなのに、なぜか体が安心するような味がすると思っています。
■パンだけじゃない!いろんな料理に使える米粉
東島:米粉はパンだけでなく、いろんなおかずにも使えるそうですね?
中村さん:みなさん、おかずを作るときに『米粉を使おう』と思わないと思うんですが、唐揚げの衣、シチューのとろみ付けにも使えます。片栗粉の代わりになるんです。
上柳:へえ! 片栗粉のような、しっかりとしたとろみが出るんですか?
中村さん:あそこまでしっかりとしたとろみではないですが、その代わり、だまになりにくいので失敗しにくいです。ですから、シチューのルーが無くても、米粉を混ぜて加熱するだけでシチューができたりします。
東島:例えば、ご家族にアレルギーをお持ちの方がいる場合、中村さんもそうだったということですが、そういうときにも米粉は活躍しそうですね。
中村さん:アレルギーのことを考えて食事を作るのは、なかなか難しさがありますよね。時間的にどこまで作れるかとか。
東島:小麦粉を米粉に置き換えることで、一度でみんなの分を作れますね。
■米粉は“油の吸収率”が低いからヘルシー
中村さん:小麦粉と米粉でカロリーの差はあまりないんですが、「脂質」は100グラムあたりで比較すると半分です。小麦粉も米粉も油の塊ではないですが、小麦粉の脂質は100グラムあたり1.5グラムに対し、米粉は0.7グラムなので結構控えめです。
東島:さらに、油の吸収率も違うので……。
中村さん:そうですね、米粉は小麦粉より油を吸う率が控えめなので、米粉料理を食べた時に油っこく感じないのでヘルシーなんです。
東島:同じものを食べるにしても、米粉を使って作れば、満足感がありながらヘルシーというのは、うれしいポイントですね。しかも、米粉は意外と使いやすいんですよね?
■米粉は扱いやすくて片付けも楽
中村さん:そうなんです、まず、“だま”になりにくいので水にさらっと溶けるんです。シチューに入れるのもおすすめだし、炒め物のとろみ付けにも使えます。
東島:個人的に私がうれしいなと思ったポイントは、「粉を振るわなくていい」という点です。
中村さん:そうですね。
東島:例えばお菓子作りする時、小麦粉を振るう作業って意外と手間なんですよ。
中村さん:米粉にはグルテンを含まないので、ダマになりにくいんです。だから、そのままお菓子にサッと入れても大丈夫なんです。
東島:さらに、小麦粉でパンも作るときは発酵させる必要がありますが、この発酵時間にも違いがあるそうですね?
中村さん:小麦粉のパンは1次発酵、2次発酵と2回発酵させるのですが、米粉パンは1回でOKです。だから1時間ほどでパンを焼けます。
上柳:ほう。
東島:これ、やる気があるうちにできてしまうって、大事なポイントで。「パン生地をひと晩寝かせます」なんて言われたら、やる気がちょっと無くなるわけですよ(笑)
上柳:なるほど(笑)
中村さん:そして、後片付けの楽さもうれしいポイントです。
上柳:後片付けが楽?
中村さん:はい、米粉は水にさらっと溶けるので、例えば使ったボールを洗おうとしたときも、水にそのままつけておくと溶けていくんです。なので、こする手間がそこまで無いので、洗い物が楽に済みます。
東島:小麦粉のネトネトを取るのって大変で、シンクもネトネトになりますし。米粉、いいところ尽くしですね。
■米粉が小麦粉より値段が少し高いワケ
中村さん:米粉の値段ですが、今は大体1キロ400円ぐらいです。パン用の米粉となるとちょっと値段が高く、1キロ600~700円くらい。小麦粉と比較すると100~200円高いです。
上柳:やはり、製造過程での手間があるのですね。
中村さん:そうですね、米自体は日本で取れるから比較的安く手に入りますが……。
上柳:米を粉にする時が大変なのですか?
中村さん:はい、米粉を粉にする技術、より細かく、使いやすくするためにデンプンを損傷させないで粉にする方法がどんどん進化しているんです。
上柳:ただ粉にするのではなく、デンプンを傷つけないように製粉されているのですね。
中村さん:そうすると、どうしてもその機械にお金がかかってしまうわけです。ですから、少し値段が高くなるんです。
上柳:もっともっと、みんなが米粉を買って使うようになれば、値段が安くなる可能性もありそうですね。
米粉は小麦と比べるとまだまだ馴染みが無いが、実はさまざまな料理で小麦の代わりになり、扱いも後片付けも簡単で、いいこと尽くしの食材。「米粉」と聞くと、小麦アレルギーやグルテンフリーを気にする人が食べるイメージを持つかもしれないが、米粉ならでは優しい味わい、おいしさ、ヘルシーさなど魅力がたっぷりある。意外と扱いやすい食材なので、ぜひ、いつもの料理に取り入れてみてはいかがだろうか。
管理栄養士・中村りえさんと、上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナHPから、いつでも聞くことが可能だ。
番組情報
「上柳昌彦 あさぼらけ」内で放送中。“食”の重要性を再認識し、「食でつくる健康」を追求し、食が持つ意味を考え、人生を楽しむためのより良い「食べもの」や「食事」の在り方を毎月それらに関わるエキスパートの方をお招きしお話をお伺い致します。
食の研究会HP:https://food.fordays.jp/