発酵研究家で料理家の真藤舞衣子さんが、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。発酵調味料が簡単に手作りできること、塩糀の使い方、「本当においしい!」とイチ押しする『プチプチしょうゆ麦麹』の作り方などを紹介した。
“発酵食好き”な家庭で育ったという真藤さん。会社勤務を経て、1年間京都の大徳寺内塔頭にて茶道を学び、畑作業や土木作業をしながら生活。その後、フランスのリッツエスコフィエに留学し、ディプロマ取得。東京の菓子店での勤務を経て、赤坂にカフェ&サロン「my-an」を開店する。そのほか、料理教室や食育活動、レシピ・商品開発などを行っている。
■「塩糀」「しょうゆ」「みそ」「豆板醤」も実は簡単に作れる
上柳:真藤さんが書かれた本『発酵美人になりませう。』(宝島社)を読みましたが、とにかく発酵食品を取り上げていて。
真藤:はい。『大人のおしゃれ手帖』という雑誌があって、そこで2年半連載させていただいていたんです。発酵にまつわる料理や調味料、あとはライフスタイルを書かせてもらっていました。
上柳:目次からびっくりしたのですが、「塩糀」「プチプチしょうゆ麦麹」「しょうゆ」「みそ」「豆板醤」も……もう全部手作りしてしまうと。
真藤:そうなんです。身近なものを使って、みなさん誰でも簡単に作れるものばかりを載せています。ただ、「プチプチしょうゆ麦麹」なんかは、ネットなどで買わないとなかなか手に入らないですけどね。でも、作り方は本当に「入れて混ぜるだけ!」という手順のものばかりです。
上柳:真藤さんが、なぜそこまで発酵食品に惹かれたかという話ですが、おばあ様の影響なのだそうですね?
真藤:そうなんです、祖母が本当に健康オタクだったので(笑)。ゴミを入れたりする大きな青色のポリバケツ、あるじゃないですか? 人が1人入るくらいの大きさの。昔、あれにぬか床があって。
上柳:ずいぶん大きいぬか床ですね(笑)。おばあ様、長生きされたそうですね。
真藤:98歳になる2週間くらい前に亡くなりましたが、本当に元気で。お化粧も一切せず美肌で。本当にとてもきれいな人でした。
上柳:発酵食品は日本人がずっと食べてきたもので、こんなに長く食べているんですから、いいことがたくさんあるのでしょうね。
■塩糀は塩の代わりに使う
上柳:宝島社の『発酵美人になりませう。』ですが、最初はやっぱり「塩糀」のことを取り上げられていて。きっと体にいいんだろうな、っていうのは分かるのですが、真藤さんは塩糀のどういうところが体にいいところだと思われていますか?
真藤:まず、ほとんど塩の代わりに使えるんですよ。
上柳:ほう。
真藤:塩糀を肉や魚に使うと酵素分解するので、ふっくら柔らかく仕上がります。アミノ酸を生成しますので、うま味も増します。
上柳:本当に調味料という感じで使うのですね。
真藤:はい。塩代わりという感覚で塩糀を使っていただくと、うま味が増して満足感を得られるので、減塩にも繋がります。
上柳:こちらで『そばの塩糀トマトソース和え』のレシピが紹介されていて、とてもおいしそうで!
真藤:乾麺の蕎麦ってトマトソースと合うんですよ。
上柳:ええっ、そうなんですか? 考えたことなかったです!
真藤:ぜひ一度作ってみてほしいです。トマトソースは塩麹で作るとトマトの凝縮感がぎゅっと出て、すごくうま味と甘みが出るんですよ。ちょっと粘性も出るので、とろりとした感じになって、ソースが麺にも絡みやすいですよ。
■『プチプチしょうゆ麦麹』も簡単に作れる
上柳:この他にも『これはおいしそうだな!』と思ったのが『プチプチしょうゆ麦麹』。これはどういうものなのですか?
真藤:これは「大麦」の麹で。塩糀は米糀なんですが、『プチプチしょうゆ麦麹』は“大麦で作られた麦麹”を使って、しょうゆで漬けるだけなんです。
上柳:ということは、“乾燥した麦麹”が売っているのですか?
真藤:はい。ネットで麹屋さんを調べてみると大体、麦麹も売っているんですよ。それを買って作るんですけど……もう、本当においしいです!
上柳:どうやって作るのですか?
~『プチプチしょうゆ麦麹』の作り方~
・ちょっと形の粒が大きいので、「麦麹」をぬるま湯や水で戻します。
・そこに、「しょうゆ」をひたひたになるまで足す。
・芯が無くなるまで、1週間ぐらい漬けて……出来上がり!
真藤:この粒の状態を楽しんでもらいたくて、本当に“畑のいくら”みたいな感じなんですよ。
上柳:ほう、畑のいくら! 菜の花の和え物の上に『プチプチしょうゆ麦麹』がちょこんと乗っている写真がありますが、これもおいしそうですね。
真藤:みなさん、お浸しにはしょうゆをかけますよね?
上柳:しょうゆ、かけますね。
真藤:それをこのしょうゆ麦麹に変えると、プチッとした食感と野菜の味わいがちょうど良く重なって、おいしいんですよ。
上柳:私もプチプチっとした食感が好きなもので、思わず惹かれてしまいました。こちらもね、調味料感覚でサラダにちょっと乗せたりね。
真藤:あと、いわしのお腹の中に入れて一緒に焼くとか……。
上柳:うわぁ、それもおいしそうですね! ネットなんかでね、乾燥した麦麹とかが売っていますので、ぜひ作ってみてほしいですね。
■創業明治27年のお店が作る糀
上柳:塩糀を作っている室(むろ)の中に入っていらっしゃる写真がありますね。
真藤:ここは普段お世話になっている、山梨にある「おかめ麹」さんです。よく行って、いろいろ見学させてもらっています。麦麹とか米麹とか……ここは、みそ屋さんなので。
上柳:なるほど。なんか、よく見たことのない器というか、だ円形の細長い器に、糀のようなものが美しく敷かれていますね。
真藤:最近はステンレスの室みたいなもので作っているんですけど、ここのお店は100年ぐらい続いているお店なので、そこからずっと使っている“むろぶた”に糀を入れて、発酵させているんです。
上柳:木でできた器なんですね?
真藤:そう、木なんですよ。これを作る職人さんがもうほとんどいないそうで。だから大切に使っているそうです。
糀などの発酵調味料というと、完成されたものをスーパーで購入する、という人がほとんどだと思うが、実はどれも簡単に作れるという。自分で作れば添加物を使用しないので、自然でおいしい味わいになるし、自分好みにできる。今回の真藤さんのアドバイスを参考に、ぜひ自家製発酵調味料作りにチャレンジしてみては。
料理家の真藤舞衣子さんと、上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHPから、いつでも聞くことが可能だ。
番組情報

「上柳昌彦 あさぼらけ」内で放送中。“食”の重要性を再認識し、「食でつくる健康」を追求し、食が持つ意味を考え、人生を楽しむためのより良い「食べもの」や「食事」の在り方を毎月それらに関わるエキスパートの方をお招きしお話をお伺い致します。
食の研究会HP:https://food.fordays.jp/