医師が解説、便秘解消におすすめの食材とは「便秘には食物繊維ならなんでもいいわけではない」

By -  公開:  更新:

自律神経研究の第一人者である順天堂大学医学部・小林弘幸教授が、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。太らないための食習慣、自律神経の役割、便秘に悩む人におすすめの食べ物についてなどを解説した。

医師が解説、便秘解消におすすめの食材とは「便秘には食物繊維ならなんでもいいわけではない」

小林先生は、順天堂大学に日本初の「便秘外来」を開設した腸のスペシャリストでもあり、味噌をはじめとした腸内環境を整える食材の紹介や、自律神経と腸を整えるストレッチを提案している。テレビ・ラジオなど多くのメディアに出演する他、『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)、『腸を整えたければバナナを食べたほうがいいこれだけの理由』(アスコム)、『20歳若返る食物繊維 免疫力がアップする! 健康革命』(朝日新書)といった書籍も人気。

■健康の定義

小林:私の中で“健康の定義”というのがあって、「37兆個とも言われている一つ一つの細胞に、どれだけ質のいい血液を流すことができるか」なんです。軸としてはまず、十分に血液を流すことに自律神経が関与していて、質を決めているのが、実は腸内環境なんです。

上柳:先生は著書でも、腸は第二の脳と言ってもいいくらい、いや、元々は生命が進化する過程の中で最初にできたのが腸だ、という記述がありましたよね。

小林:そうです。皆さん、脳がえらいと思う方が多いですが、発生学的には“脳が第二の腸”です。

上柳:なるほど。

小林:腸から脳は発生しているんです。なので、脳が持っている能力は、腸が全部持っていると言っても過言ではないです。

■夕食の「時間」と「量」をコントロールすれば太らない

上柳:先生はとてもスリムでいらっしゃるのですが、45年間ずっと体重が変わっていないそうですね?

小林:はい、大体60~63キロの間ですね。

上柳:なぜ、ずっと体重をキープできたのですか? その秘密は何ですか?

小林:食事のコントロールだと思いますね。夕食の量と時間をしっかりコントロールしていれば、ほとんど太らないです。それをなかなか皆さんできないので、どんどん太ってしまうということだと思います。

上柳:一日三食の中で、なぜ夕食の時間が一番大事なのでしょう?

小林:夕食の時間がすべてだと言っても過言ではなく、寝る3時間前には夕食は終わっていないといけないのです。

上柳:それはどうしてですか?

小林:なぜかと言うと、食べている時に寝る人っていませんよね?

上柳:はい。

小林:ということは、自律神経で言うとアクセルの役割である「交感神経」が活発になっています。しかし、寝る時には「副交感神経」というブレーキのリラックスする神経が上がってこないといけません。そのためには、どうしても3時間かかってしまうんです。

上柳:なるほど。

小林:だから、夕食が遅ければ遅いほど腸にストレスがかかるし、睡眠の障害にもなるんです。だから睡眠が良くないと、痩せられないし代謝も良くなりません。

上柳:そうなんですね。

小林:そして、食事の量。いっぱい食べると、腸にストレスがかかってしまうので、量は7割ぐらいにするのがベストです。

上柳:お腹がいっぱいになって、そのまま寝てしまう人もいると思いますが、これがよくないということですね?

小林:そうですね。腸にストレスがかかると、吸収、排泄も悪くなるし、代謝も悪くなる。せっかくいいものを取っても、なかなか生かされないので、食事の時間と量はすごく重要なことです。

上柳:なるほど、寝る3時間前には食事を終わらせ、腹7分目ぐらいがいいのですね。

■自律神経の役割

上柳:自律神経、交感神経、副交感神経というお話が出てきたんですが、自律神経というのは私達が寝ている間も一生懸命に私達の体を維持・コントロールしてくれているのですね。

小林:勝手に動いてくれていますから、我々のライフラインです。自律神経は意思に関係なく全部動いてくれていますからね。特に、血流をコントロールしているので「ライフライン」と言われています。

上柳:自律神経は私たちが命をまっとうするまで働き続けるので、大切に労ってあげなければいけないな、という風に思いました。

小林:そうですね。特に今はコロナ禍で自律神経がダメージを受けやすく、疲弊していますので、ケアしてあげるのは重要です。そのためには食事に気を付けてほしいですね。

医師が解説、便秘解消におすすめの食材とは「便秘には食物繊維ならなんでもいいわけではない」

■悪玉菌の意外な活躍

小林:腸の中には1.5キロもの、いろんな菌がいるんです。

上柳:1.5キロもですか! その中にいい菌、悪い菌、そして“悪くなっても良くなってもいいよ”という菌がいるそうですね。

小林:よく言われているのが、善玉菌が2割、悪玉菌が1割、日和見菌が7割。

上柳:日和見菌とは、悪くなっても良くなってもいいよ、どっちにつこうかな……という菌ですね?

小林:そうです。腸内環境がいいとは、どういう環境かというと、その日和見菌がどっちの味方をするかで変わってきます。

上柳:はい。

小林:不思議なのは、なんで悪玉菌が1割もいるのかということ。

上柳:確かに、そうですね。

小林:この1割の悪玉菌、実はすごくいい活躍をしていて、社会と一緒なんです。“うるさい人”がいないとサボりますから。悪玉菌がいないと、善玉菌はサボるんですよ。

上柳:なるほど、悪玉菌がいるからこそ、“オレ達善玉菌が頑張らないと!”と動いてくれるわけですね。

小林:そういうことです。「悪玉菌」という不名誉な名前を付けられてはいますが、良いこともやっているんですよ。

■便秘の人は控えたほうがいい食物繊維がある

小林:菌にはエサがないとダメで。そのエサが食物繊維なんです。いくら、いい菌を取り入れてもエサがないとどうにもなりませんよ、ってことなんです。

上柳:体の中にいる“いい菌”を増やすには、エサを与えればいいわけですね。

小林:そういうことです。

上柳:そのエサが食物繊維だと。

小林:食物繊維は、大きく分けると「水溶性」と「非水溶性」があって。

上柳:水に溶けるか、溶けないかの違いですね?

小林:はい。水に溶けないもの、不溶性の食物繊維は便秘にはあまり良くないんですよ。

上柳:ほう。

小林:便秘には食物繊維ならなんでもいいわけではないんです。水溶性の食物繊維は便秘にはいいのですが、便秘の人が不溶性のものをいっぱい取るのは良くないです。

上柳:でも、不溶性の食物繊維にも、それなりの役割みたいなものがあるんでしょうか?

小林:不溶性の食物繊維は、エサを十分に運んでくれたり、腸に刺激を与えたり、やっぱり腸内環境のエサにもなっているので、いい活躍はしています。ですが、便秘の方はできれば水溶性のものを取って、不溶性のものは控えたほうがいいです。

上柳:なるほど。

小林:注意をするのはこれくらいで、あとは何でもいいと思います。

上柳:ちなみに、便秘の方におすすめの水溶性の食物繊維は、どういう役割をしているのですか?

小林:ゲル状にして便をやらかくするので、通過をすごく良くするんですね。

上柳:ああ、なるほど。

小林:不溶性だと便にカサができてしまうので、どんどんと固くなって停滞してしまいます。

医師が解説、便秘解消におすすめの食材とは「便秘には食物繊維ならなんでもいいわけではない」

■お通じがよくなる水溶性食物繊維が取れる食べ物

上柳:水溶性の食物繊維を取るにはどんなものを食べればいいですか?

小林:“水っぽいもの”です。例えば、大根、ごぼう、にんじん、椎茸、昆布、しらたき、などがそうです。見た目が水っぽいものには水溶性の食物繊維がよく含まれています。

上柳:海藻類はどうですか?

小林:もちろん、わかめ、海苔もいいと思います。

上柳:逆に、便秘の方は控えめにした方がいい、不溶性の食物繊維はどんなものでしょう?

小林:典型的なものだと「芋類」です。ちょっと水っぽくないイメージですよね。

腸内環境を整えれば自律神経が整い、体に十分な血液が流れ、太りにくく、睡眠の質も良くなる。体調不良を『ストレスかな? 年齢のせいかな?』と放置せず、食事のタイミングや量、食べるものを工夫するなどして、腸内環境を整えることを試してみては。

順天堂大学医学部・小林弘幸教授と、上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHPから、いつでも聞くことが可能だ。

番組情報

食は生きる力 今朝も元気にいただきます

毎週月曜・金曜 5:25頃

番組HP

「上柳昌彦 あさぼらけ」内で放送中。“食”の重要性を再認識し、「食でつくる健康」を追求し、食が持つ意味を考え、人生を楽しむためのより良い「食べもの」や「食事」の在り方を毎月それらに関わるエキスパートの方をお招きしお話をお伺い致します。
食の研究会HP:https://food.fordays.jp/

Page top