京王の駅弁大会、注目の「輸送駅弁」は?

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

画像を見る(全9枚) 輸送駅弁販売コーナー

駅弁屋さんが腕を振るう「実演販売」と共に、駅弁大会の魅力の1つが「輸送駅弁」です。現地の水、空気の下、いつもの調理場で作られた駅弁が、日本が誇る物流網の恩恵を受けながら、東京の百貨店に並びます。そんな輸送駅弁の話題を集めている新作、さらには、今回からの新企画についても注目しました。

E233系電車・普通列車とEF210形電気機関車牽引・貨物列車~東海道本線・辻堂~藤沢間

京王百貨店新宿店「第58回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」見て歩き(第4回/全5回)

雄大な富士山に見守られて、朝日を浴びながら、東海道本線の普通列車と貨物列車が湘南の海沿いを並走していきます。15両編成の旅客列車には、東京・横浜方面への通勤・通学客が多数乗車し、貨物列車には、西日本方面からのさまざまな荷物を積んだコンテナ車両が、旅客列車より長く連なっています。早朝から人も物も盛んに動いている風景は、ニッポンの朝の躍動感を感じさせます。

EF510形電気機関車牽引・貨物列車、羽越本線・藤島~鶴岡間

都市部ではしばしば、旅客列車と貨物列車が走る線路が分けられていますが、地方では、単線の線路を長大な貨物列車が走るのに対し、旅客列車は特急が2時間に1本程度、普通列車もその合間に数時間に1本程度といった風景がよく見られます。地元の生活の足はマイカーに移行してローカル列車の本数は少ないものの、じつは貨物列車が日本の物流の一翼を担っているケースは、地方の日常風景かも知れません。

画像を見る(全9枚) 輸送駅弁販売コーナー

その意味では、現在開催されている、京王百貨店新宿店「第58回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」の輸送駅弁も、日本が誇る「物流」に支えられているといっても過言ではありません。今回は3年ぶりに、輸送駅弁コーナーも実演販売と同じフロアに戻りました。全国の弁当が顔を揃えていますが、京王百貨店によりますと、引き続き航空便の減便が続いているため、地域によっては東京まで駅弁の輸送が難しいところもあると言います。

JR貨物コンテナ弁当 明石の鯛めし編

輸送駅弁で注目を集めているのは、2022年の第57回大会で話題を呼んだ、神戸駅弁・淡路屋の「JR貨物コンテナ弁当」の第2弾。その名も「JR貨物コンテナ弁当 明石の鯛めし編」(1600円)と言います。今回は、鉄道コンテナ輸送50年の記念として、50個だけ作られた特別塗装の19D形式コンテナを模した容器をおよそ1年かけて開発。気になるコンテナのなかには、明石の名物料理「鯛めし」を盛り付けています。

特急列車ヘッドマーク弁当・第16弾「やまびこ」

一方、駅弁マークが入った弁当ではありませんが、JR東日本クロスステーションリテールカンパニーと地元の駅弁屋さんなどが組んで期間限定販売されてきた「特急列車ヘッドマーク弁当」も人気上々の様子。昨夏発売された第16弾の「やまびこ」(2160円)は、京王の駅弁大会初登場。一ノ関駅弁・斎藤松月堂が製造しており、同じ一関市を拠点とする格之進の金格ハンバーグ、格之進熟成肉の炙り焼き、格之進メンチカツ等が味わえます。

「SDGs×駅弁」企画のおにぎり

そして、輸送駅弁コーナーでもう1つ注目を集めていたのが、駅弁各社が手掛ける名物駅弁のご飯を使った「おにぎり」の数々。こちらは、今回の「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」の新企画「SDGs×駅弁」によって登場したもので、駅弁製造時に発生する端食材を使い、「おにぎり」として仕上げることで、フードロスを削減していこうという取り組みだと言います。

松阪駅弁「元祖特撰牛肉弁当」(掛け紙シリーズ第29作・懐かしのジョイフルトレイン「いきいきサロンきのくに」)

ロスを減らすという観点では、「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」の公式サイトでは、駅弁の「遅延・売切情報」が、高頻度で更新されており、行ってみたけれど、お目当ての弁当が売り切れていた……という“無駄足”を減らすことに役立っています。この取り組み、百貨店だけに留めておくのは非常に勿体ないと感じます。駅弁好きなら、駅弁屋さんへの電話予約も厭わないわけですが、そうではない方々にとって、予約はハードルが高いもの。その意味でも、特に都市部の売店では、在庫可視化とネットでの当日取り置きがスムーズにできるようにすれば、多くの方が駅弁売店に抱いている“モヤモヤ感”を減らすことにつながるのではないかと思います。

京王5000系電車「京王ライナー」、京王線・国領~柴崎間

1月7日から開催されてきた京王百貨店新宿店の「第58回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」も、残すところ数日となりました。じつは後半の1月16日から、一部のお店が、入れ替わっており、新たに出店したお店もあります。次回は後半戦の注目駅弁のなかから感じる、駅弁業界の「いま」をピックアップいたします。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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