特急「やくも」と駅弁で、春の岡山を満喫してみた!
公開: 更新:
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
国鉄からJRになって3回目の卯年を迎えています。40年近い歳月を経て、少し前まで当たり前だった、国鉄生まれの車両も次々と姿を消しています。その最後の風景が楽しめるエリアとして注目されているのが岡山エリアです。とくに山陽と山陰を結んでいる特急「やくも」は、いまも国鉄生まれの車両が活躍する希少な特急列車。かつての塗色が復刻された編成も運行されています。
岡山と出雲市の間を伯備線経由で結んでいる特急「やくも」。山陽新幹線の岡山開業に合わせて誕生し、去年(2022年)で運行開始から50周年を迎えました。これを記念して、国鉄時代のカラーリングを復活させた“国鉄色リバイバルやくも編成”が運行を開始して、1年を迎えました。この春からは、先頭車両の側面に「JNRマーク」が新たに取り付けられました。普通列車の扇風機や灰皿でもおなじみだったあのマーク、懐かしいですね。
(参考)JR西日本ニュースリリース(2022年12月14日)
さらに、今年(2023年)に入ってからは、もう1編成が、地元の方やファンの皆さんの要望を反映して平成6(1994)年12月~平成18(2006)年3月まで運行されていた特急「スーパーやくも」の紫色を基調としたカラーリングに変更されました。出雲市寄りの先頭車両はパノラマタイプのグリーン車。LEDのヘッドマークにも「スーパー」の文字がしっかり表記されていて、往年の「スーパーやくも」を彷彿とさせる風景が見られます。
そんな懐かしの「やくも」の旅に彩りを加えてくれるのが岡山の駅弁です。去年夏の岡山デスティネーションキャンペーンに合わせて登場した、「黄ニラあなごめしと岡山づくし」(1580円)は、岡山のいろいろな味を一度に味わえるのが嬉しい駅弁です。“黄ニラ”は、岡山県が栽培の発祥と言われ、明治時代から光を遮って育てる「遮光栽培」と呼ばれるユニークな方法で作られています。
(参考:JA全農おかやま)
【おしながき】
・焼き穴子と煮穴子のあいのせめし(焼き穴子、煮穴子、岡山県産黄ニラの白だし煮、味付けご飯)
・千屋牛の牛めし(千屋牛のすき焼き風煮、人参煮、白飯)
・溶岩石で焼き上げた鶏めし(岡山県産「あっぱれ鶏」の直火焼き、青ねぎ、鶏だし入り味付けご飯)
・厚焼き玉子カツ(岡山県産「星の里たまご」、おろしだれ、紅生姜)
・桃太郎伝説(きびだんご串)
焼き穴子・煮穴子の上に黄ニラが載ったあなごめし、日本最古の蔓牛と言われ、和牛のルーツともされる千屋牛ゆかりの牛めし、風味豊かに焼き上げられた岡山県産あっぱれ鶏を使った鶏めしという3つのご飯が楽しめます。加えて玉子焼きがそのままカツになった珍しい厚焼き玉子カツも、柔らかい衣で心地よい食感。デザートにもきびだんごが入って、“岡山づくし”の名にふさわしい、地元を満喫できる駅弁に仕上げられています。
特急「やくも」の国鉄色とスーパーやくも色はそれぞれ1編成の運行。検査期間以外は、岡山~出雲市間を概ね1日2往復しており、運行ダイヤも発表されています。もちろん、通常の“ゆったりやくも色”も健在。今年の春も、沿線の桜の花との共演が見られました。ただ、すでに来年春以降にデビューする予定の後継車両のデザインも発表されています。今年も“いまだけ”楽しめる風景を求めて、岡山エリアを訪ねる旅が続きそうです。
この記事の画像(全7枚)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/