あけの語りびと

ポスターはまるでプロレスの興行? 「魂のやきそば・最強決戦」開催の裏側

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それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

ポスターはまるでプロレスの興行? 「魂のやきそば・最強決戦」開催の裏側

「魂の焼きそば・最強決戦」のポスター

池袋から東武東上線の急行に乗って15分。埼玉県の朝霞駅を降りると、駅周辺のあちこちに派手なポスターが貼られており、「何これ?」と目を引きます。燃え盛る炎を背に、強面の男たちが「決めポーズ」を取って睨みを利かせています。

よく見ると、20人のなかに女性が1人います。ポスターには「最強決戦!」「ナンバーワンは誰だ!」などの文字が踊っているので、「プロレスの興行かな?」と見間違う人もいるかも知れません。

実は、朝霞市と和光市のいろいろな飲食店が腕によりをかけた「創作焼きそば」ナンバーワンを決めるコンテスト……「魂のやきそば・最強決戦 ~俺のやきそばを食らいやがれ~」のポスターなのです。

ポスターはまるでプロレスの興行? 「魂のやきそば・最強決戦」開催の裏側

「食いち」の事務局を務める「すわん」の大金翼さん

今回参加した20店のうち、中華料理店は一軒のみ。他は和食、イタリアン、フレンチ、居酒屋、ピザ店など、普段は「焼きそば」をつくらないお店がほとんどです。「魂のやきそば・最強決戦」は5月31日まで開催され、6月からは「創作やきそば」は提供されません。

イベント発起人の1人が、朝霞市で創作料理のお店「すわん」を営む大金翼さん・40歳。

「2008年にお店を開いたんですよ。当時の朝霞駅は駅舎がまだ古くて、駅前ロータリーも整備されておらず、街は暗いし活気もありませんでした。『何か盛り上がることをしませんか?』と近所の飲食店に声をかけ、最初は3軒から始めたんです。でも3軒だと何をやっても盛り上がらず、割引券付きのチラシを配っても、ほとんど効果がありませんでしたね」

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「魂のやきそば」にエントリーした20店舗

ここで諦めなかった大金さんは「もっと他のお店にも声をかけてみよう!」と、朝霞市内の飲食店を一軒ずつ回り、声を掛けていきました。

「昔は飲食組合があったんですが、いまはなくなってしまい、お店同士の横のつながりが全くなかったんです。そのため、声を掛けたら意外と集まっていったんですよ」

和食、洋食、中華、居酒屋、バーなど、さまざまな業種の飲食店が16店集まりました。会の名前を「食いち」に決めて、年に4回、会議を開いています。

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第1回「チャーハン最強決戦」のポスター

2年前の2021年、「さあ、何をやろうか」とアイデアを出し合いますが、これと言っていいアイデアが浮かばない。会議が長引くと思った1人が、テイクアウトの「チャーハン」を持ってきていました。

「このチャーハンがめっちゃ美味しいんですよ。これに勝つチャーハンは、そうないと思うな。そうだ、『チャーハン対決』をみんなでやりませんか?」

それを聞いた大金さんは、「チャーハン対決? やめようよ」と反対します。

「だってうちのメニューにチャーハンはないし、中華鍋もないんだよ。中華の『昆布森』さんが絶対に有利だよ。他にアイデアはないかな?」

結局、まわりの賛成意見に押され、2021年4月~5月の20日間、「チャーハン最強決戦」が行われました。ところが、緊急事態宣言とイベント開催日が重なり、お店はどこも休業状態になってしまいます。

ポスターはまるでプロレスの興行? 「魂のやきそば・最強決戦」開催の裏側

第2回「カレー最強決戦」のポスター

「ああ、これではイベントを中止するしかない……」と諦めかけていましたが、コロナ禍でみんな鬱々としていたためか、逆にこのイベントが大注目されます。テイクアウトでいろいろな創作チャーハンが楽しめると話題になり、爆売れしました。

お客さんが食べて投票した結果、第1回の「チャーハン王者」は、当然ですが中華料理の「昆布森」に輝きました。去年(2022年)、第2回として行われたのは「カレー最強決戦」。このときは飲食店のオーナー全員がターバンを巻き、ポスターにずらりと登場。ポスター自体も目を引きました。

そして、今年(2023年)は「やきそば最強決戦」。ポスターは、写真撮影からデザインまで大金さんが手掛けていますが、デザインの最終チェックをしていたとき、「どうかな」と不安がよぎります。

「ちょっとふざけすぎかな? これを見たお客さんが引いてしまうかも……」

ポスターはまるでプロレスの興行? 「魂のやきそば・最強決戦」開催の裏側

「すわん」の創作やきそば

しかし迷っていたとき、仲間の1人に「自分たちが楽しめないと、お客さんも楽しめないんじゃないの?」と言われます。「そうだ、これでいいんだ!」と判断し、5月に入って街のあちこちにポスターを貼っていくと、反響は上々でした。

「コロナ禍はみんなで力を合わせて乗り切ることができました。今年は値上げラッシュで外食を控える家庭が増えそうです。これから飲食店の生き残りが始まるかも知れませんが、我々はこのポスターのように、みんなでタッグを組んで頑張っていきます」

「魂のやきそば・最強決戦」では、熱き戦いが続きます。

ポスターはまるでプロレスの興行? 「魂のやきそば・最強決戦」開催の裏側

朝霞駅前に貼られた「魂の焼きそば・最強決戦」のポスター

■『食いち』
「食を通して朝霞の街を盛り上げたい!」と思う個人飲食店が中心となり、イベントなどを行う集まりです。

■『食いち』インスタグラム
https://www.instagram.com/shokuichiasaka/

番組情報

上柳昌彦 あさぼらけ

月曜 5:00-6:00 火-金曜 4:30-6:00

番組HP

眠い朝、辛い朝、元気な朝、、、、それぞれの気持ちをもって朝を迎える皆さん一人一人に その日一日を10%前向きになってもらえるように心がけているトークラジオ

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