「疲れ」がなかなか取れない原因と対策は 専門医が解説

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東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身先生が、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。

「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ)など、各メディアで“疲労回復のスペシャリスト”として知られる梶本先生が、疲労の正体、腎臓からくる疲労を防ぐ方法、疲れをとる食事などについて解説した。

「疲れ」がなかなか取れない原因と対策は 専門医が解説

疲れは「脳」の中にある「自立神経」が原因

上柳:疲労について、いろいろお話を伺いたいと思います。

梶本先生:昔は乳酸が疲労の原因だとか、体が疲れるのはエネルギー不足だから、ガソリンメーターが0になったから、そんなイメージを持つ人が多かったと思います。でも今は飽食の時代で、皆さん結構好きなものを食べて、それでもやっぱり疲れますよね?

上柳:疲れますね。

梶本先生:疲れの原因は昔とは少し違って「脳の中」にあります。脳の「自立神経」と言われている、緊張したり、いろんな筋肉や臓器を動かしたり、24時間のサイクルを作ったり、体温調節をしたり、そういうことを司っている脳の自立神経が、実は一番疲れるんです。

自立神経は脳の下垂体、視床下部というところにあり、ピンポン玉ぐらいの大きさなんですが、ここで全身の器官と筋肉を動かしていると考えていいと思います。

自立神経は、いびきをかいている人の呼吸を早めたり、暑い時には汗をかいたり、寒い時には体を震わせたりと、これを自然にやっている。眠っている時もやっているので、いい環境にいなければ、自律神経は必ず疲れることをさせられ、脳の中で疲れがたまります。これがいわゆる、持続的に続く長期疲労の原因です。

上柳:自律神経が一生懸命働いてくれているから、私たちはこうやって、いろいろな環境の変化に耐えながら生きてこられたのですね。

ビジネスマンも主婦も、みんな働きすぎ

上柳:先生のクリニックは新橋にあって、おしゃれで、静かな環境の病院なんですよね。そこには、睡眠について悩んでいる方が、駆け込み寺のように行かれるそうですね?

梶本先生:新橋なので、普段は社会人として 色々と働いているビジネスマンの方が非常に多いのですが、そうした方は外では元気な顔をしていますが、疲れているんだなと感じます。会社勤めの方も、主婦の方もみんな8時間以上働いていますが、本来、動物としては働きすぎなんです。

例えば、サバンナにいるライオンなんて、彼らは自分のホームを決めていて、その縄張りから出て狩りに行くのは1日3時間ぐらいと言われているんです。それ以外の21時間はずっと安全なところでダラ~っとしています。

産業革命までは、1日8時間働くことはあり得なかったので、我々の遺伝子は長い時間働くことを想定されていないので、「全員が無理をしている」と言い切っていいと思います。

さらに、交通機関や通信手段が発達したことで、人間関係が密になりました。コロナ禍で自粛期間があったと思いますが、自殺される方が急に減ったんです。人間関係は接触が増えるほど、負荷やストレスがかかってしまうケースがありますから。

今はちょうど普通の生活に戻りつつあり、3年間ストレスフリーだった人間関係が戻ってきています。だから、人間関係のギクシャクに悩んだり、睡眠に影響している方が多いです。

上柳:ストレスをちょっとでも軽減させる、自律神経を手っ取り早く休ませる方法はありますか?

梶本先生:それは「衣・食・住」すべてが大事です。「快適」「安全」「安心」な環境に住むことは非常に重要です。

「腎臓」は隠れ疲労のたまり場

上柳:先生の著書「疲労回復の専門医が選ぶ健康本ベストセラー100冊『すごい回復』を1冊にまとめた本」には、腎臓についても書いてあって、「沈黙する腎臓こそ隠れ疲労のたまり場――」と書いていますね。

梶本先生:腎臓は体の老廃物を洗い出してくれる場所なんですが、「血流」によってその機能がかなり変わるんです。

多くの皆さんが座って仕事をしていると思いますが、実は4時間ほど座っているだけで、腎臓の血流量が10%程度落ちます。人間は、座っていることが本来の姿ではないようなんです。

上柳:そうですよね、動物はいつも警戒しながら動いていますよね。

梶本先生:人間だけが、強制的に4時間ぐらい座らされているわけです。腎臓を通る血流量が減ると何が起きるかというと、ろ過作用でどんどん老廃物を流さないといけないのに、その機能が落ちます。腎臓の機能が落ちることによって、体全体に老廃物がたまりやすくなり、結果、疲労が起きるんです。

腎臓からくる疲労をどうやって防ぐかというと――

(1)こまめに水分を飲む

水分はガブガブ飲むより、ちょびちょび飲むようにしてください。

(2)歩く

外に出て長い距離を歩く必要は全くなく、会社勤めされている方はデスクからトイレまでの40~50メートルという距離でも十分です。そのついでに自動販売機で飲み物を買って飲むとか、机の上に水分を置くとか、そういうことで腎臓の機能は保たれます。

「疲れ」がなかなか取れない原因と対策は 専門医が解説

「リン」の取り過ぎに注意

梶本先生:特にこの10年で分かってきたことなのですが、「リン酸化」が老化と関係していて、疲れを起こす一つのメカニズムとして、脳の中の自律神経や神経細胞の働きを落としてしまうことが分かっています。それが慢性化すると、認知症になりやすいともいわれています。

上柳:「リン」が多く含まれている食べ物として、著書の中では「食品添加物」「加工品」「ファストフード」「スナック菓子」 というものが紹介されていますね。

梶本先生:そうなんですけど……なかなか、私たちは保存料とは切っても切れない関係なので、それを避けるのは難しいのですが、やっぱり、コンビニ食とかを控えて自炊をすることが大切だと思っています。

“抗疲労”にいい食材

上柳:先生の著書には、どんなものを、どういう風に食べればいいのか、ということも紹介されていますね。

・「野菜」は葉っぱごと、皮ごと、根っこごと食べるのがいい。

・「魚」は皮ごと、骨ごと食べるのがいい。

・「穀物」は全粒で丸ごと食べるのがいい。

梶本先生:これらは皆さんもご存知だとは思うんですが、果物とか野菜は、外側の色が濃いところの方が栄養価が高いんです。ただ、農薬の関係もあったりするので、気になるなら皮を取っても大丈夫です。

動物もそうですが、皮は、細菌や敵から身を守るためにいろいろな栄養が入っているので、 そこを摂取するというのは理想的なんです。

上柳:自律神経がフル稼働しているから疲れる、ということですが、自律神経にいい食べ物はありますか?

梶本先生:「鶏の胸肉」や、「鮭」「マグロ」「カツオ」などの魚の肉に含まれている成分が、疲れを取ってくれる優れたタンパク成分だということが分かっています。

上柳:鶏の胸肉がなぜそんなに疲労にいいのかという話で、渡り鳥があんなに小さいのに海を渡れるのは、鳥の胸肉にはそういう栄養素がいっぱいあるからだそうですね。

梶本先生:人を使った鶏の胸肉の対象試験もされて、その結果には本当にびっくりしました。それまでは、ビタミンCやタウリンがいいのかな、とか思っていましたが、いろいろ比べてみた中で、鶏の胸肉に含まれている成分がすごく優秀だったことが分かったんです。

また、世界中の食事の中で、日本食ほどの健康食はないです。やっぱり、バランスよく食べるのが大切なんです。日本の懐石料理なんかは本当に理想食で、一番の“抗疲労食”と言っていいと思います。

海の幸、山の幸などいろいろなものを食べることは、疲れを防ぎます。海がない国もありますから、日本は恵まれていると思います。

「疲れ」がなかなか取れない原因と対策は 専門医が解説

ほとんどの人が8時間以上の労働をする現代では、疲労はどうしてもついてまわるもの。疲労軽減には「衣・食・住」すべてが大事で、快適に感じる生活を心掛ければ、自律神経の負担は確実に減るので、日頃から自分の体の声に耳を傾けてみては。

東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身先生と、上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHP(https://www.1242.com/genki/index.html)から、いつでも聞くことが可能だ。

番組情報

食は生きる力 今朝も元気にいただきます

毎週月曜・金曜 5:25頃

番組HP

「上柳昌彦 あさぼらけ」内で放送中。“食”の重要性を再認識し、「食でつくる健康」を追求し、食が持つ意味を考え、人生を楽しむためのより良い「食べもの」や「食事」の在り方を毎月それらに関わるエキスパートの方をお招きしお話をお伺い致します。
食の研究会HP:https://food.fordays.jp/

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