ガチガチに固まった砂糖を今すぐに戻す方法 専門家が解説、砂糖の豆知識

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DM三井製糖株式会社の永井幸枝さんが、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。固まった砂糖をサラサラにする方法や、調味料に「さしすせそ」の順番があるわけ、また、糖分が私たちの体に与える影響についてなど解説した。

ガチガチに固まった砂糖を今すぐに戻す方法 専門家が解説、砂糖の豆知識

永井幸枝さんは、三井製糖株式会社の研究開発部に入社後、微生物の酵素を利用した機能性糖類(パラチノース)の生産研究に従事。2003年に固定化酵素による機能性糖類の連続生産の研究で、神戸大学で農学博士を取得。2006年には文部科学省の国家資格である技術士(生物工学部門)を取得。現在は、2022年10月に合併により新社名DM三井製糖株式会社の研究所で、次長として技術及び知的財産を担当している。

■固まった砂糖をサラサラにする方法

上柳:砂糖って、本当にびっくりするぐらい固くなりますよね。ガチガチに固まってしまった砂糖を、サラサラに戻す方法を教えてください。

永井:固まった砂糖をサラサラに戻す方法はいくつかあるのですが、砂糖壺みたいな入れ物に入っている場合は、「食パン一切れ」を入れて密封し、一晩くらい置いておくといいですよ。食パンの水分を、砂糖がちょうどいい具合に吸います。

上柳:なるほど。パンの水分が、固まった砂糖を柔らかくしてくれるのですね。

永井:大きい入れ物だったら「りんご1個丸々入れる」というのもいいです。

上柳:りんごを!?

永井:りんごの皮を剥いたら、当然水分が出るのでダメですよ。また、欧米では「マシュマロ」をいくつか入れ、砂糖をサラサラに保つそうです。

上柳:それもやはり、一晩入れておくのでしょうか?

永井:そうです、一晩入れてください。

上柳:今すぐサラサラにしたい! という場合は、どうすればいいですか?

永井:今すぐという時は、本当にちょっとだけ「レンジ」で温めてください。

上柳:本当に、ちょっとですよね?

永井:はい。10秒とか、それくらいです。様子を見て加減してくださいね。

上柳:これ、私も永井先生にお聞きして試したのですが、本当にサラサラになります! ただ、レンジで温め過ぎると煮詰めた砂糖みたいになるそうですね?

永井:そうです。温め過ぎるとカラメルになってしまうので、気をつけてください。

上柳:温める時間は入れ物の大きさでも変わってくるので、皆さんいろいろ試してみてください。

■調味料の「さしすせそ」はなぜその順番なのか

上柳:砂糖について、お勧めの使い方はありますか?

永井:よく聞くと思いますが、調味料の「さしすせそ」。「砂糖、塩、酢、しょうゆ、みそ」この順番で入れるといいですよ、と言われるんですが、なんでその順番なのか。

上柳:きちんと根拠があるのですよね?

永井:まず、砂糖は他のものより分子が大きいんです。分子が大きいと、水の中にポンと入れた時の広がる速さがゆっくりなんです。だから、煮物を作るときに砂糖を入れますが、すぐに染み込まないんです。

上柳:なるほど、だから最初に砂糖を入れれば、ゆっくり広がって吸収され、食材に味がなじむということですね。

永井:塩分である「塩」「しょうゆ」「みそ」はスっと浸透してしまうんです。

上柳:あまり長々と入れておくと、しょっぱくなってしまうということですね。

永井:はい。また、先に塩が入ると、後から砂糖が入り込めなくなります。

上柳:なるほど。

永井:「酢」は、酢酸という成分ですから、加熱すると蒸発してしまいます。なので、後の方に入れます。

上柳:はい。

永井:「しょうゆ」「みそ」は発酵食品なので、香りも重要ですよね。なので、最後に入れます。

上柳:香りを飛ばさないように、ということですね。食べる時、しょうゆ、みその香りは日本人の食欲をそそりますからね。

永井:そうですね。

上柳:全部理由があるのですね。

ガチガチに固まった砂糖を今すぐに戻す方法 専門家が解説、砂糖の豆知識

■「糖分」の役割

上柳:「糖質制限」という言葉もある為か、砂糖は体にあまり良くない、というアナウンスを聞くことが多いような気がします。

永井:まず、砂糖に限りませんが、「糖分」というものは体のエネルギー源になります。

上柳:エネルギー源。

永井:エネルギー源と言うと、『私はスポーツしてないから』と思われるかもしれないんですけど、「脳」「神経」「赤血球」には、ブドウや血糖しかエネルギーとして使えないんです。私たちは生きている限りずっと、脳、神経、赤血球も常にエネルギーを必要とします。

上柳:考えるだけで、エネルギーを消費するそうですね。

永井:考えなくても、寝ているだけでも、夢を見ているだけでもエネルギーを必要とします。

上柳:呼吸や心臓も、ずっと動いてくれていますからね。なんとなく砂糖を取らないように、甘いものを食べないように、ということを続けるのは、あまり良くないのですね。

永井:良くないです。砂糖を食べると「血糖」になり、血糖値が上がると「インスリン」が出てきます。このインスリンですが、脳や筋肉などその時必要な細胞に、血糖を届ける時のドアの鍵みたいな役割をするんです。

さらに、筋肉細胞にタンパク質やアミノ酸を取り込ませるとき、血液中に中性脂肪があるとき、脂肪を脂肪細胞の中に入れるときにも、インスリンは必要なんです。

上柳:こんなにたくさんの役割があるのですね。

永井:極端に糖質制限をしている方、特に、糖質を取らない代わりにタンパク質と脂を取っている方は、血管の中の血糖値が低いから糖はあまり無いですが、血管の中に脂がいっぱいある状態となってしまいます。

上柳:それは、あまり好ましい状態ではなさそうですね。

永井:極端な糖質制限をずっとやっていると、血管が詰まってしまい、動脈硬化とか心筋梗塞とかになると言われています。

上柳:あくまでも適量が大切で、取り過ぎ、全く取らないといった極端なことは、やめた方がいいということですね。

■「糖尿病」という名称は病気を正しく表現しているのか?

上柳:昨年2022年の秋ぐらいに「糖尿病」という名前を考え直してみたらどうか、というニュースがありました。「砂糖は体に悪い」というイメージがあまりにも先走りし過ぎていることや、病気を正しく表現しているかどうか、という議論になりましたね。

永井:そうですね。糖尿病の患者さんと医療関係者の団体である、日本糖尿病協会で「糖尿病という名前についてどう思いますか?」というアンケートを取ると、患者さんたちから「イメージが悪いから前向きになれない」という回答があり、それが問題になっていたそうです。

また、糖尿病になると尿に糖が出ますが、尿に糖が出ても糖尿病ではない病気もあるんです。尿に糖が出たら全部糖尿病だと思われるなど、そういう誤解もあることから、「糖尿病」という名前を考え直してみよう、という話を始めたようです。

上柳:単刀直入ですが、砂糖は体に良くないのですか?

永井:いい質問ですね。砂糖も普通の食品ですから、「良い」「悪い」ということはないんです。良い部分もあるけど、やっぱり取り過ぎたらダメなんです。

上柳:適量が大切で、どんな食べ物でも食べ過ぎたら体に毒だということですよね。

永井:おっしゃる通りです。

「糖質制限」という言葉が流行ったことで、砂糖や糖分を徹底して控える風潮もあるが、糖分には「体のエネルギー源」という大事な役割がある。やみくもに甘いものを排除するのではなく、正しい知識で適量を食べ、健康的でストレスの無い食生活を意識してみては。

DM三井製糖株式会社の永井幸枝さんと、上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHPから、いつでも聞くことが可能だ。

番組情報

食は生きる力 今朝も元気にいただきます

毎週月曜・金曜 5:25頃

番組HP

「上柳昌彦 あさぼらけ」内で放送中。“食”の重要性を再認識し、「食でつくる健康」を追求し、食が持つ意味を考え、人生を楽しむためのより良い「食べもの」や「食事」の在り方を毎月それらに関わるエキスパートの方をお招きしお話をお伺い致します。
食の研究会HP:https://food.fordays.jp/

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