池田駅「十勝ワイン漬ステーキ弁当」(1,080円)~電話1本で旅の不安が晴れたらいいね!十勝の名物駅弁【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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キハ283系・特急「スーパーおおぞら」

キハ283系・特急「スーパーおおぞら」

根室本線・池田駅に入ってきたのは、ドア周りに釧路らしくタンチョウの赤がデザインされたキハ283系・特急「スーパーおおぞら」。
北海道では今も列車別の改札が行われています。
特急スーパーおおぞらの「改札中」の札が、池田駅の改札口にパタンと掲げられるのに合わせて、駅構内に聞こえてくるのが、ドリームズ・カム・トゥルーの「晴れたらいいね」。
吉田美和さんのご出身が池田ということで、オルゴール調のインストゥルメンタルが流れます。

池田ワイン城

池田ワイン城

池田ワイン城

池田ワイン城

北海道の旅では、空港ですぐレンタカーを借りてしまう人が見受けられますが、もしも、池田へ行くならゼッタイ「鉄道」がお薦め!
なんたって、池田はワインの町ですから、鉄道なら心ゆくまでワインの世界を堪能できるのです。
シンボルの「池田ワイン城」へは、池田駅から歩いて跨線橋を渡り10分ほど。
無料の見学コースあり、試飲コーナーあり、列車の待ち時間を過ごすにはピッタリです。

レストランよねくら

レストランよねくら

十勝を吹き抜ける爽やかな風を感じながら酔いをさましつつ、池田駅まで戻ってお邪魔するのは、駅前にある「レストランよねくら」。
ココ、駅前にあるレストランとしてだけでなく、池田町はもちろん道東を代表する銘菓の1つ、「バナナ饅頭」を作っているお店として広く知られています。
店頭にも「バナナ饅頭」の看板が出されていますよね。

かつて駅弁の立ち売りに使われていた籠。

かつて駅弁の立ち売りに使われていた籠。

実は「レストランよねくら」は、駅弁屋さん!
今もレストランのエントランスには、かつて池田駅構内で立ち売りさんが使っていた首から下げるケースが展示されていました。

池田駅はかつて池田~足寄~陸別~北見を結ぶ池北線(北海道ちほく鉄道・ふるさと銀河線)が接続していた乗換駅でした。(網走へ向かう鉄道としては、石北本線より先に開業)
ふるさと銀河線は、残念ながら平成18(2006)年に廃線となりましたが、駅弁は今も健在です。

十勝ワイン漬ステーキ弁当

十勝ワイン漬ステーキ弁当

「レストランよねくら」の駅弁といえば、「十勝ワイン漬ステーキ弁当」(1,080円)!
包装にも十勝の風景とワイン城が描かれていますよね。
販売開始は昭和49(1974)年、先ほどのワイン城の完成に合わせて出された駅弁なんです。
この地域が電化されたことは無いのですが、先代のご主人のデザインで、以前から電気機関車の客車列車が描かれているのが興味深いところ。

通常、駅構内での販売は無く、駅前にある「レストランよねくら」での販売となりますが、電話(015-572-2032)予約して、列車を告げておけば、ドアの所まで持ってきてくれます。
(特急「スーパーおおぞら」の場合は3号車で受け取り)

十勝ワイン漬ステーキ弁当

十勝ワイン漬ステーキ弁当

ボックスのふたを開け、中ぶたを外すと、ステーキの香ばしい匂いがしてきました。
基本が予約販売なので、手に取ると、出来たての温もりが感じられるのも嬉しいところです。
町の洋食屋さんらしく、ナポリタンや缶詰のフルーツが入っているのも郷愁を誘います。
北海道を旅していると、どうしても食事が“魚介系まつり”になってしまうので、十勝を旅する時は、やっぱりこのステーキが恋しくなってしまうんですよね。

十勝ワイン漬ステーキ弁当

十勝ワイン漬ステーキ弁当

肉厚にカットされた牛肉が、赤身を残したレア感ある状態で焼き上げられています。
これに特製ソースをかけて、肉を噛みしめると、肉汁がジュワっとなってたまりません。
箸でいただいている自分に気付いて、「コレって、駅弁だったんだ」と再認識する感じです。
万が一、南千歳の駅弁が完売し釧路までは「腹が減って持たない」という時、コレを知っていれば、即、電話予約すると、池田までは2時間ほどあるのでまだまだ大丈夫!
1本の電話で出来たてのステーキ駅弁に出逢えたら、旅の不安が十勝の抜ける青空のようにスーッと晴れていくことでしょう。
なお、池田駅では列車の停車時間が限られているので、必ずお釣りの無いようにご用意を・・・。(木曜定休)

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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