旭川駅「オホーツクサーモンとウニの押し寿司」(1,100円)~キハ183系特急「大雪」・石北本線の旅【ライター望月の駅弁膝栗毛】

By -  公開:  更新:

特急「大雪」

キハ183系・特急「大雪」

国鉄からJRになって30年。
今も頑張っている「国鉄形車両」は大きな注目を集めています。
この春から石北本線に登場した新しい特急「大雪」に充当されるキハ183系もその1つ。
特に初期に登場した“スラントノーズ”といわれるカクカクっとした顔の車両は人気ですね。
この日は、俗に“N183系”などと呼ばれる貫通タイプの先頭車でした。

特急「大雪」

キハ183系・特急「大雪」

今年3月から、旭川~網走間で運行を始めた特急「大雪」。
「大雪」は元々、石北本線で走っていた急行列車の愛称でした。
今回、札幌~網走間の「オホーツク」として運行されていた列車の2往復が旭川始発となるため、その列車に「大雪」の愛称が復活した格好となります。

キハ183系の屋根もややくたびれた感じが否めませんが、「大雪」が生まれたのもこれが理由。
JRのプレスリリースや各紙報道によると、本当は今すぐにも新車にしたいのですが、懐具合からまだまだキハ183系に頑張ってもらう必要があり、少しでも走行距離を抑え、大事に使っていきたいという事情があるようです。
このため旭川で改札を出ない限り、札幌~旭川間の電車特急と乗り継いでも、通しの特急料金となる特例も新たに設けられました。

石北本線の車窓

石北本線の車窓

旭川と網走を結ぶ「石北本線」。
特に北見周辺では、車窓に畑作地帯が広がります。
北見の名産といえば、「玉ねぎ」。
この「玉ねぎ」を運ぶために、石北本線には貨物列車も走るほど。
鉄路というものは、人を運ぶためのだけのものではないのです。

遠軽駅

遠軽駅

そんな「石北本線」の1つのハイライトは、歴史的経緯からスイッチバックが残る遠軽駅。
今でこそ遠軽は途中駅ですが、平成の初めまで、遠軽から先に名寄本線が伸びていました。
しかし、名寄本線が廃止されてしまったため、スイッチバックだけが残っています。
このため今も遠軽では、特急列車であってもおよそ4分停車。
車内には前後のお客さんと相談して、座席の向きを変えるようにアナウンスが流れます。
(参考:遠軽町ホームページ)

白滝駅

白滝駅

白滝駅の駅名票を見ると、隣駅の部分だけが新しくなっているのが分かります。
これは途中駅が相次いで廃止されたことによるものです。
元々、石北本線には、旭川側から「奥白滝」、「上白滝」、白滝、「旧白滝」、「下白滝」という5つの「白滝」が付く駅がありました。
しかし、いずれも利用者の減少などを理由に廃止され、今は白滝駅だけが残っています。
また、上川~白滝間はおよそ37kmあり、在来線では最長の駅間となっています。

オホーツクサーモンとウニの押し寿司

オホーツクサーモンとウニの押し寿司

網走発着の特急「オホーツク・大雪」には、残念ながら車内販売がありません。
札幌・旭川から入る場合は、旭川駅が最終食料補給ポイントとなります。
旭川駅で「旭川駅立売商会」が調製する「オホーツクサーモンとウニの押し寿司」(1,100円)を仕入れて、オホーツク気分を先取りするのもアリかも!?
この駅弁は原則、週末中心の販売で、平日などは予約が必要です。

オホーツクサーモンとウニの押し寿司

オホーツクサーモンとウニの押し寿司

旭川駅では昼の時間帯、特急発着ホームでも台車売りなどが行われています。
それ以外の時間帯は、改札外・1階の待合室に併設された構内売店での購入となります。
夕方はかなり品薄となりますので、夕飯を仕入れる場合は、予約がおススメです。
包装を外すと、魚形の小窓からのぞいていたサーモンと蒸しウニが一面に広がりました。
海鮮系の駅弁は、ふたを開けた時の磯の香りが嬉しくなりますね。

オホーツクサーモンとウニの押し寿司

オホーツクサーモンとウニの押し寿司

「オホーツクサーモン」とは、網走沿岸や知床沖で獲れるカラフトマスのこと。
「セッパリ」、「アオマス」、「ホンマス」などの呼び名があります。
サケの仲間で、川で生まれ、海でおよそ1年過ごし、生まれた川に遡上。
オホーツク海沿岸では、例年7~9月にかけて漁が行われ、主に網走や斜里の港に揚がります。
その意味では、網走周辺の夏旅にはピッタリの駅弁かもしれません。
(参考:網走市ホームページ)

特急「大雪」

キハ183系・特急「大雪」

北海道の中でも、特に厳しい「石北本線」ですが、それでも何とか鉄路を守りたいもの。
乗車した「大雪4号」は、遠軽の1駅隣・瀬戸瀬駅で網走行の「大雪1号」とすれ違います。
このため瀬戸瀬駅には、週末中心に「大雪」同士の擦れ違いを観に(撮りに)、ファンが多く訪れているとも伝えられています。
素人考えですが、これをもう一歩進めて、遠軽で上下の「大雪」が同時入線(または同時発車)したら、“一大イベント”になって、遠軽のスイッチバックの魅力がもっと輝くように思います。
実際、えちごトキめき鉄道のリゾート列車「雪月花」では、スイッチバックのある二本木駅で、運転士さん同士が息を合わせて、“同時入線”をやっていますよね。
しかも、遠軽は有人駅ですので、写真を撮る人たちにも入場券をしっかり買ってもらえたり??
もちろん安全第一ですが、少ない列車、長い所要時間だけに、国鉄形キハ183系特急「大雪」が、4分間だけでも“ランデブー”したら、それは間違いなく胸アツなひと時。
「大雪」に乗る人にも、ちょっぴりエンタメ要素もあると嬉しいなというのが正直な気持ちです。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

Page top