釧網本線・塘路駅から「くしろ湿原ノロッコ1号」に乗って降り立ったのは「釧路湿原駅」。
「湿原」と駅名が付いているものの、列車は木立の中で停まります。
広大な平原をイメージして「釧路湿原駅」を初めて訪れた方にとっては、ちょっと意表を突かれたような気持ちになるかもしれません。
でも、ログハウス風の駅舎を抜けて、10分ほど山道を登っていきますと・・・?
釧路湿原を代表するビューポイントの1つ、「細岡展望台」へ行くことが出来ます。
タンチョウやオジロワシなどの貴重な野生生物が生息し、自然が多く残されている「釧路湿原」。
明治から昭和にかけて開発が進みましたが、地元の研究者や自然保護団体が湿原の価値を見直すための運動を続け、昭和55(1980)年、日本初のラムサール条約登録湿地となりました。
そして、昭和62(1987)年7月31日に28番目の国立公園に指定され、今度の月曜日(31日)で、ちょうど30周年を迎えます。
(参考)環境省ホームページほか
釧路川とその支流を含めた日本最大の釧路湿原、及びその湿原を取り囲む丘陵地から構成されている「釧路湿原国立公園」。
ずっと続く平らな土地はもちろんですが、この手つかずのクネッと蛇行した川の流れが見られると、「釧路湿原に来たなぁ・・・」という気持ちになるもの。
大きな自然を前にすると、人の営みはホントに小さなものですよね。
湿原の豊かな水を集めて釧路川が流れ込む釧路の市街地は、日本有数の水産業の街。
そんな釧路らしい駅弁といえば、釧路駅弁を手掛ける「釧祥館」を代表する駅弁の1つ、「釧路漁礁(ぎょしょう)」(1,080円)です。
「ノロッコ号」は、指定席各席にテーブルが付いていますので、比較的駅弁を食べやすい列車。
釧路では、特急に接続して「くしろ湿原ノロッコ2号・4号」が発車していきますので、改札前にある1番ホームで、「釧祥館」の台車売りから駅弁を買って乗りこみたいものです。
包装の上からも見えていた、鮮やかなサーモンピンクが目を引きます。
ご飯は酢飯で、その上にカニのほぐし身、サーモン、いくらが載った押し寿司となっています。
包装には「カニの中骨を手作業で取り除いている旨」の注意書きも記されていますが、これがちょこっと残っていると、逆に“手作り感”があって嬉しくなったりするもの。
売店の方によると、先日の「たらば寿し」と並んで、早々に売れてしまうことが多いそうです。
午後の「ノロッコ4号」など遅めの時間で食べたい時は、予約をしておいた方がいいでしょう。
(釧祥館:0154-22-9460)
釧路湿原駅は、無人駅でコインロッカーなどもありません。
今回、大きな荷物を持ったまま、展望台の坂道を登っている方も見受けられました。
もしも荷物があるなら、事前に釧路駅のロッカーなどに置いておくのがオススメです。
例えば、今回の私の行程は・・・
釧路11:06―「くしろ湿原ノロッコ2号」-塘路11:54/12:17―「くしろ湿原ノロッコ1号」―釧路湿原12:39・・・細岡展望台・・・釧路湿原13:11―快速「しれとこ」-釧路13:33 (2017年7月現在)
仮に網走方面へ行く予定があったとしても、塘路から先へ行く釧網本線の列車は、8:57の後は14:14までありませんので、釧路駅に荷物を置いても問題ありません。
ココにしかない大自然、動きやすい服装で、存分に満喫されてみてはいかがでしょうか。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/