北朝鮮弾道ミサイル発射~交渉巧者としての行動?危険な愚行?
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8/29(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
米韓合同演習の先制攻撃のシミュレーションに過剰反応
7:11~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター富坂聰(ジャーナリスト・拓殖大学教授)
北朝鮮からのミサイルが北海道襟裳岬上空を通過
今日午前5時58分頃、北朝鮮の西岸からミサイルが北東方向に向かって発射されました。午前6時6分頃、北海道襟裳岬上空を通過してミサイルは3つに分離し、3つとも午前6時12分頃、襟裳岬東方の東およそ1,180キロの太平洋上に落下したものと推定されます。記者会見した菅官房長官です。
菅官房長官)本日5時58分頃、北朝鮮西岸より1発の弾道ミサイルが北東方向に向けて発射をされました。本弾道ミサイルは6時6分頃、我が国の北海道襟裳岬上空を通過し、6時12分頃、襟裳岬の東約1,180キロメートルの太平洋上に落下したものと推定を致します。現在までのところ、我が国の領域への落下物は確認をされておりません。また現時点において、付近を航行する航空機や船舶への被害報告との情報は確認をされておりません。
今回発射された弾道ミサイルは我が国の上空を通過したと見られ、我が国の安全保障にとってこれまで無い深刻かつ重大な脅威であります。また太平洋地域の平和や安全を脅かすものであると言わざるを得ません。また航空機や船舶への安全確保の観点からも極めて問題になる危険な行為であるとともに安保理決議等への明白な違反であります。我が国としてはこのように繰り返される北朝鮮に、度を越した北朝鮮の挑発行動を断じて容認できず、北朝鮮に対し厳重に公議を行い最も強い表現で断固非難しました。政府としては国連安保理の場を含め、米国および韓国を含む関係国と緊密に連携して対応するとともに、被害状況の確認を行うなど、国民の安全、安心の確保のために必要な対応に万全を期して参りたいと思います。森田耕次解説委員)安倍総理大臣も記者団に対し、「国民の生命をしっかりと守っていくために万全を期す」と述べています。韓国の韓国軍合同参謀本部からの情報ですとこのミサイルは首都平壌の順安(スンアン)付近から日本海に向けて発射されたとしている他、発射された弾道ミサイルは1発で、飛行距離がおよそ2,700キロ、最大高度高さはおよそ550キロだったということです。これは韓国軍の合同参謀本部からの情報です。
高嶋)グアムの方へ4発撃つと言っていて、撃ってこない。「これは良い傾向だ」トランプ大統領とか、ティラーソン国務長官とが言っていた。ところが26日に撃った、これでまた空気が変わった。それで日本はグアムの方へ撃つことを想定して、PAC3とかイージス艦とか配備していたと思うんですが。表現悪いですけどもあっち向いてホイみたいに撃たれて。良い調子に北朝鮮に鼻面引き回されているみたいなね。これで日本の防衛体制大丈夫なのかなと素朴に思ったんですけど、どうですか。
米韓合同演習の先制攻撃のシミュレーションに過剰反応富坂)その通りですよね。予測不可能な行動を取られて見ている人間が不安になるということをやられているわけです。これは交渉巧者としての北朝鮮の行動なのか、それとも本当に何か1本欠けちゃった行動でやっているのかというところを注視する必要が出てきています。実はウルチフリーダムガーディアンっていうのは1975年から始まっている米韓の合同軍人演習なのですが、北朝鮮が殊更嫌がっていた部分がありましてね。途中で名前が変わって続いているのですが、作戦計画5015は、先制攻撃がシミュレーションに入っていますので、かなり気にして過剰反応していました。そこで中露が特にこの演習だけは気を付けた方がいいと言っていたということが背景にあります。その部分に刺激されたというのもあるかもしれないです。でも本当に分かりにくい行動を取りましたね今回は。
高嶋)米韓軍事演習はもうじき終わるわけでしょ?
富坂)今月末までと言われています。ただ、今回は小規模で例年より7,500人少ないんです。30パーセント位減なので、これが北朝鮮へのメッセージではないかとも言われましたが、マティスさんは北朝鮮なんか考えていないと明確に否定はしていましたが、ちょっとお互い良い感じのキャッチボールが始まったのかなと思っていた矢先です。
高嶋)いつもアメリカにこっち向いて欲しいから、交渉したいから、北朝鮮はそういう風にやっているのだとワンパターンで皆さん言いますけど、そう言っている間にどんどん軍事的に進化しちゃって、どうするつもりですか?
大国が手を出したくない複雑な朝鮮半島富坂)結局実は朝鮮半島というのは大国の思惑ということが複雑に絡み合っていて、みんな手を出したくない場所でぽっかりと空間ができている。だから北朝鮮はその空間にポテンヒットを重ねてきたわけですが、そういう中で何かしら自分たちが異常にできるということを考えてしまうと、このバランスが崩れていくので。それはちょっと怖い要素だと思うのですが。ただアメリカなんか見ていると本当に朝鮮半島を未だにちゃんと見ているのかなっていうと、実はちょっと不安なところもあります。例えば今回国連が8月5日に制裁をしましたが、その前にアメリカが独自制裁しているのです、議会が。それが実は北朝鮮だけじゃなくて、ロシア、北朝鮮、イランを3つ一緒にやっているわけですよね。これは滅茶苦茶な話で実はペルシャ湾もかなり緊張しています。
高嶋)十把一絡げならぬ、3国まとめて。
富坂)そうです。だからそれは、われわれは北朝鮮しか見てないけど中東でも大変なことになってうるしロシアでも大変なことになっていて、3つを同時にというのはちょっと変なことで。ある分析によると、国内の対立を使うためにロシアに制裁しているとか、純粋に外交の要因では無いのではないかという指摘もあります。そういう意味でいうと本当にきちんとこの問題を処理しなくてはならないと見ているのか、とりあえず中国にまかしとけみたいな段階にあるのかっていうとですね、ちょっと不安なところもあるわけです。
高嶋)アメリカもイージス艦のフィッツジェラルドの事故が下田沖であったし。この間マラッカ海峡でまたあって、あんなようなことがあって。とにかく国民っていうか兵隊さんが死ぬっていうことはアメリカの世論をすごく動かしますよね。そういうことになると、例えば日本の防衛で日米の協力体制とかそういうのは一体どうなっていくのだとか、ちょっと心配しますよね。
富坂)責任者が解任されましたしね。ちょっと太平洋の関係はグラグラときている感じがあります。要するに刺激によってどういう興味の持ち方をするのかということは大変で、単にアメリカが出てきてくれたらこの問題解決するという、日本人はそう考えますけれどもね、これは中々大変なことになるので。
高嶋)現実的にそうなったにしてもね。
富坂)だから簡単には終わらないっていうことだけ覚悟しないといなきゃいけないと思いますね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00