【ライター望月の駅弁膝栗毛】

米坂線の気動車

米沢駅の一角に停車するディーゼルカー。
これらの車両は、米坂線（よねさかせん）の気動車です。
米坂線は、米沢と羽越本線の坂町（さかまち）を結ぶ90kmあまりの非電化路線。
どの列車も米坂線内は各駅に停車し、全線の所要時間はおよそ2時間。
全線を直通する列車は1日5往復、途中の今泉、羽前椿、小国までの区間列車もあります。

キハE120系

米坂線を走るキハE120形気動車には、新潟エリアでおなじみ、オコジョのキャラクターが描かれ、Banetsu、Uetsu、Yonesakaのロゴが・・・。
新潟エリアの気動車は、磐越西線（会津若松～新津間）、羽越本線（新津～酒田間）と米坂線で共通に使われています。
羽越本線は電化路線ですが、途中で交直切替があるため、気動車が重宝されています。

キハ58形気動車、米坂線・越後金丸駅（2009年撮影）

米坂線は2000年代に入っても、国鉄形気動車が活躍する路線として知られていました。
しかしキハ58、キハ52といった国鉄形は、今から8年前、平成21(2009)年の春に引退。
国鉄時代は新潟～仙台間を結ぶ急行「べにばな」も運行されていましたが、徐々に運行区間が短縮され、今は快速化されて米坂線内は各停となり、米沢止まりになっています。
米沢から先は山形新幹線によってレールの幅が変わったために、直通することは叶いません。

幕の内弁当

そんな懐かしい旅風景にピッタリ合いそうな駅弁といえば、幕の内ですよね。
米沢駅弁「新杵屋」にも「幕の内弁当」(900円)があります。
掛け紙には、米沢市内の地図が描かれていますね。
上杉神社がセンターに来ているあたりが、さすが米沢！
右側の米沢駅から、ぐるっと下に弧を描いているのが「米坂線」です。

綴じ紐が掛けられる幕の内弁当

新杵屋の名物「牛肉どまん中」などではスリープ式の包装を採用していますが、「幕の内弁当」や先日ご紹介した「牛そぼろ弁当」などでは、掛け紙と綴じ紐が健在なのが嬉しいところ。
熟練の駅弁屋さんの方はもちろん手早く、あっという間に十字に結びあげていきます。
やっぱり、この駅弁屋さんならではの職人技、カッコいいですよね。

昔、私の田舎を走っていた急行「富士川」に乗ると、甲府のほうで駅弁を買って食べた人たちが、弁当の空き箱と蓋をキュッと紐で結んで、よく165系電車のボックスシートの足元に置いていたのを思い出します。
その記憶が今もあって、私も車内で綴じ紐のある駅弁をいただくと、空き箱をキュッと紐で縛って、足元に置き、デッキに立つ用事がある時に、くず入れに捨てに行くといった具合。
やっぱり、これが駅弁を食べた後の「捨て方の流儀」ですよね！

幕の内弁当

【お品書き】
白飯
マス塩焼
ウインナー
ひじき煮
高野豆腐
大根煮
ふき煮
卵焼き
かまぼこ
きゅうり漬
牛肉煮
うぐいす豆

幕の内弁当

幕の内弁当の“三種の神器”といえば、「焼き魚・卵焼き・蒲鉾」。
「新杵屋」では焼き魚にマスの塩焼を使っています。
加えて、牛肉どまん中でおなじみの「牛肉煮」も入っているのが特徴。
甘めの牛肉煮とマスの塩焼・・・この2つを一緒にいただくとちょうどいいんですよね。
実は「新杵屋」の幕の内、まるで牛肉どまん中の“牛鮭定食”のような気分が味わえるのです！

秋の乗り放題パス

今すぐにでも旅立ちたくなってしまったあなた、今週末(10/20)まで発売されているのが、毎年恒例の「秋の乗り放題パス」(7,710円)。
JR全線の普通・快速列車に3日間乗り放題となる“秋の青春18きっぷ”のようなきっぷです。
1日あたり2,500円ちょっとの計算ですので、最低で片道1,300円以上の区間を3日間往復すれば、ほぼ元が取れる計算。（特急・新幹線等を利用する場合は、新たに乗車券が必要です）
若い人たちが学校の時期なので、それほど混まず、のんびりとした旅が楽しめますよ。