宮古駅「いちご弁当」(1500円)~「リゾートあすなろ」が宮古へ!“幻の駅弁”にも出逢う!!

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

宮古駅「いちご弁当」(1500円)~「リゾートあすなろ」が宮古へ!“幻の駅弁”にも出逢う!!

HB-E300系・リゾートあすなろ「おいしい山田線号」、山田線・宮古駅

12/9(土)に盛岡~宮古間で運行された団体臨時列車「おいしい山田線号」。
山田線には定期的に入線することの無い、ハイブリッドシステムを搭載したHB-E300系「リゾートあすなろ」が宮古まで運行され、沿線の皆さんの歓迎を受けました。
この列車は、「おいしい山田線号で行く三陸・宮古ヘルスツーリズム」という旅行商品(盛岡発4800円)を購入した人が乗車可能で、私も今回このツアーに参加してまいりました。

 

宮古駅「いちご弁当」(1500円)~「リゾートあすなろ」が宮古へ!“幻の駅弁”にも出逢う!!

宮古駅の歓迎

盛岡を9:01に発った列車は、宮古に11:19に到着。
駅前からツアー参加者専用の2台のバスに乗り換えて、宮古を代表する景勝地「浄土ヶ浜」を目指します。
宮古駅や地元の皆さんによる歓迎、見送りを受けて、バスは発車。
途中のビュースポットなどでは、バスの徐行運転なども行われました。

 

宮古駅「いちご弁当」(1500円)~「リゾートあすなろ」が宮古へ!“幻の駅弁”にも出逢う!!

浄土ヶ浜

宮古駅前から「浄土ヶ浜」までバスに揺られて15分あまり。
駅前からは路線バスも運行されているので、鉄道で来てもアクセスしやすいですね。
三陸復興国立公園・三陸ジオパークの中心に位置づけられている「浄土ヶ浜」。
この地名は、江戸時代に地元のお坊さんが「さながら極楽浄土のごとし」と感嘆したことから名付けられたと言われています。

 

宮古駅「いちご弁当」(1500円)~「リゾートあすなろ」が宮古へ!“幻の駅弁”にも出逢う!!

鮭汁のふるまい

「浄土ヶ浜レストハウス」では、列車内で学生の皆さんから食材に関するミニ講義を受けた「鮭汁」の振る舞いを受けました。
実はこのレストハウスこそがツアーのポイントで、列車で紹介され試食した食材を購入できるようになっており、しかも予め「お買物券・1000円分」が付いているのです。
事前に美味しさや有用性を把握して土産売場に足を運んでいるだけに、自然と財布のヒモも緩んでしまいます。

 

宮古駅「いちご弁当」(1500円)~「リゾートあすなろ」が宮古へ!“幻の駅弁”にも出逢う!!

浄土ヶ浜

とかく鉄道旅では、列車本数が限られているエリアほど、せいぜい駅近の大手コンビニなどで
ちょこっと買い物をする程度で、地元にお金を落としにくいものです。
その意味では、2時間かけて列車内で「三陸の地場産品を欲しくなる雰囲気」を温められて、美しい景色と共に楽しく買い物をすると、浄土ヶ浜の澄んだ海のように心がスッとしてきます。
この汽車による“喜捨”旅プランを考案した方、ナイスアイディアです!!

 

宮古駅「いちご弁当」(1500円)~「リゾートあすなろ」が宮古へ!“幻の駅弁”にも出逢う!!

魚元

宮古の駅前に滞在出来たおよそ30分の時間で、駅弁好きなら知らない方はいないであろう、割烹の「魚元」を訪ねました。
前回もご紹介した通り、宮古駅で弁当の購入はできませんが、電話予約してお店に伺えば、おなじみの味に出逢えるのです。(電話:0193-63-1700)
実は今回、「魚元」に予約の電話を入れた際に「出来ますよ!」と快諾いただいたことから、私自身も、およそ10年ぶりに、あの“幻の駅弁”に出逢うことが出来ました!

 

宮古駅「いちご弁当」(1500円)~「リゾートあすなろ」が宮古へ!“幻の駅弁”にも出逢う!!

いちご弁当

この掛け紙、見憶えのある方もいることでしょう。
そう、宮古駅弁の代名詞と言ってもいい存在、「いちご弁当」(1500円)です!
「いちご弁当」のいちごとは、もちろん果物のいちごではなく、三陸名物「いちご煮」由来。
いちご煮とは、うにとあわびの共煮ともいわれ、結婚式などの行事に作られるご馳走です。
うにを煮ると山いちごに似る(?)ところから、このような名前がつけられたといわれています。

(参考)岩手県ホームページ

 

宮古駅「いちご弁当」(1500円)~「リゾートあすなろ」が宮古へ!“幻の駅弁”にも出逢う!!

いちご弁当

掛け紙を外し、ふたを開けると、びっちり敷き詰められたうにの上に、肉厚なあわびが4切れ、ズシリと載っています!
旬の時期になってきたあわびを口に運べば、何とも心地いい“コリコリっ”とした食感!!
これぞ、「冬のごほうび」!!
あゝ、このあわびを再び味わえる時が来るなんて・・・宮古を訪問した甲斐がありました。

 

宮古駅「いちご弁当」(1500円)~「リゾートあすなろ」が宮古へ!“幻の駅弁”にも出逢う!!

いちご弁当

これまで「いちご弁当」を作ることが出来なかったのは、あわびが入手できなかったためです。
5年前に伺った際のメモを見直すと、東日本大震災では宮古にあったあわびの種苗施設が、津波で流されてしまったため、「いちご弁当」を作ることが出来ない・・・とありました。
最近になってようやく、弁当にふさわしいあわびが時々入荷するようになったとのこと。
そこで、あわび入荷のタイミングが合って、従来より高い「1500円」という価格でも納得してくれるなら、「いちご弁当」を作っているんだそうです。
「これが『本物のあわび』だから、しっかり味わってね!」と手渡していただきました。

かつては百貨店の駅弁大会でも見かけた「魚元」ですが、さすがに今は厳しいとのこと。
宮古で作る時と比べ製造環境も違い、納得のいく食材も集まらないことも理由の1つだそう。
確かに納得のいくあわびが、安定して揃わないことには、大量の販売には厳しいですね。
魚元の名物「いちご弁当」に逢えるかどうかは、あなたの持っている「運」次第!
ぜひ“幻の駅弁”に出逢えるまで、山田線を使って、宮古へ足しげく通ってみて下さい。
一度、出逢えたら、その美味しさに、また食べに行きたくなっちゃいますけどね!

 

宮古駅「いちご弁当」(1500円)~「リゾートあすなろ」が宮古へ!“幻の駅弁”にも出逢う!!

キハ110系気動車、山田線・宮古駅

現在、快速「リアス」をはじめ、普段の山田線で活躍しているのは、キハ110系気動車。
年末年始は定期列車のほか、快速「ふるさと宮古」が運行されます。
「ふるさと宮古」に充当される車両「kenji」は、今や貴重なキハ58・28形気動車!
年明け1/28にも、臨時列車「寒鱈まつり号」として運転が予定されています。
およそ2年ぶりに運転を再開した山田線の盛岡~宮古間。
この冬は、懐かしい鉄道風景が残る山田線の車窓を眺めながら、三陸の美味しいものをいただく旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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