【ライター望月の駅弁膝栗毛】
平成29(2017)年も、あっという間に駆け抜けてしまいました。
年齢を重ねるほど、時速300kmの「のぞみ」号のように、早く時間が過ぎ去っていくもの。
この日訪れた兵庫県高砂市の加古川の土手は、東海道・山陽・九州の各新幹線の車両が、いずれも時速300km前後で走行。
日々の出来事のように、N700A、N700系、700系、500系がビュン!と通り過ぎていきます。
山陽新幹線の姫路駅は、国宝・姫路城が見える駅として有名。
鳥取方面へのアクセスを担う、特急「スーパーはくと」号や、兵庫県但馬地方へのアクセスを担う、特急「はまかぜ」号との接続駅となっているため、東京直通の「のぞみ」号も毎時1本、停車する駅となりました。
姫路停車の「のぞみ」号であれば、じっくりと国宝を堪能することが出来ます。
さて、この姫路駅にも、ある意味、“国宝級”の駅で食べるそばがあります。
その名も、ズバリ「えきそば」!
姫路の駅弁を販売する「まねき食品」のお店で出されています。
実はこの「えきそば」、フツーの駅にある立ち食いそばとは違うんです。
昭和24(1949)年の販売開始から間もなく70年・・・「えきそば」とは一体???
(まねき食品)
http://www.maneki-co.com/
そばと言えば、都会では真っ白、田舎そばなら褐色だったりしますが、「えきそば」はなんと、「黄色い」麺をしています。
それもそのはず、姫路駅の「えきそば」は、和風だしに中華麺という独特の組合せなんです。
戦後の混乱期、小麦粉が入手しにくい中で、それに代わるものを試行錯誤する中で生まれたかんすいを入れたのが、和風だし+中華麺による「えきそば」なんだそう・・・。
和風だしのいい香りを顔いっぱいに浴びながら、ツルツルっとすする中華麺。
これが不思議、よく合うんです!
しかも、フワッとした食感の天ぷらが載って、ちょっぴりお得な360円!
姫路の方にとっては、すっかりソウルフードなのでしょう。
私が訪れた日も、お店にはひっきりなしに「えきそば」をすする音が響いていました。
国宝の街・姫路にある、“庶民の宝”「えきそば」!
お店の名前も「まねき食品」で、なんだか縁起がいいのも嬉しくなっちゃいますよね。
1年の締めくくり、気分よく福を“まねき”たくなる、姫路の「えきそば」です。
皆さま、よいお年をお迎えください。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/